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- 2016/05/30 掲載
地方と東京の「就活格差」の現実とは? 地方のミカタ 岩本洋樹 代表に聞く
自身の就職活動経験から支援活動を開始
「周囲を見てみると、同じように悩んでいる学生が多くいました。そこで2012年末に学生団体を立ち上げて、都内にシェアハウスを開設したのです。そこで地方から来る就活生のサポートを始めたのですが、次第にそちらにのめりこんでしまって……。結局大学院も就職活動もやめて、就活生のサポートに専念することにしました」(岩本氏)
なんだか本末転倒なようだが、実際に自身で課題を感じたからこそ強い意志をもって取り組もうと考えたのだろう。その後シェアハウスを増やし、2014年5月には法人化、同年6月に「地方のミカタ」へと社名変更をしている。滞在だけではなく、より幅広いサポートを提供していきたいという思いを込めた社名だという。
2016年は地方のミカタ躍進の年に
これまでシェアハウスの運営を中心としてきた地方のミカタだが、2016年に入ってからその活動範囲を次々に広げている。そのひとつが東京新宿駅近くにある「地方のミカタ 就活カフェ」のオープンだ。多くの就活生が交通費を抑えるために夜行バスを多用する。使ったことがある方はご存知と思うが、これらのバスは早朝に東京に到着するよう運行されている。
ビジネスマンならそのまま出勤すればいいが、就活生にはその時間の居場所がない。到着して周囲を見回しても24時間営業のファストフード店かコンビニしか営業しておらず、地の利のない就活生にとっては荷物をおいて休む場所を探すのさえ困難なのが実態だ。
「夜行バスで新宿に到着した就活生に、休める場所を提供したい。そのために開いたのが就活カフェです。夜行バスの到着時間に合わせて営業時間は朝6時から23時まで。利用料金は1回100円で、コーヒーとライスはお代わり自由です」(岩本氏)
カフェでは、無料のWi-Fiが使え、全席に電源を完備。荷物を預けて自由に出入りすることができる。仮に日帰りなら、夜行バスで朝、新宿に着いて、就活カフェで荷物を預けてご飯を食べ、日中は企業説明会や面接、帰りの夜行バスの時間まで就活中の仲間と情報交換をしながらコーヒーを飲んで過ごせるというわけだ。
これで1日100円とは、就活生がうらやましくなる価格設定である。オープンした2月には盛大なセレモニーも開催された。
春が訪れこれから就活を始める就活生が、先輩と情報交換できるイベント「地方のミカタ 超入社式」も催された。2016年卒の新社会人と就活を本格化させつつある2017年卒の就活生が参加し、地方就活生として工夫したポイントなど現実的な情報交換を行なっていた。
2016年になって地方のミカタが取り組み始めたもうひとつのプロジェクトが、Webサービス「地方のミカタ キャリア」だ。就活生向けのWebサービスは既に多数あるが、地方就活に特化したダイレクトリクルーティングサービスは地方のミカタ キャリアの他にない。こちらも2月にリリースされている。
「地方にいながら東京の企業にエントリでき、Webで事前の説明会を受講できるようにしています。東京に行く回数と滞在時間を最小限にすることで、地方就活生の負担をできるだけ小さくしたいと考えています」(岩本氏)
【次ページ】「地方のミカタ」はだれのミカタなのか
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