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- 2016/02/03 掲載
インドの若者の心を蝕むテクノロジー 親、行政は子供たちを守れるのか
インドIT最新事情
(訳:エクシール・エフ・エー・コンサルティング 大塚賢二)
ソーシャルメディアにハマるインドの10代
インドでは、子どもが日常的にインターネットを使う家庭は、まだ新し物好きの一定の層にとどまってはいる。とはいえ、次第に広がりを見せている。親は子どもにスマホをすぐ買い与え、インターネットの手ほどきをしてやるのだが、オンラインに潜むリスクを十分に教えているかは心もとない。親サイドの意識に依存しているというのが実態だ。有力ウイルス対策会社マカフィーが、インドの8歳から17歳を対象に実施したデジタルセキュリティ調査の結果を紐解いてみよう。70%近くが週に5時間以上インターネットを利用しており、使用端末は依然デスクトップが多い。ラップトップ、スマホがこれに次ぐ。人気のあるサイトはFacebook、YouTube、WhatsAppの順となっている。13歳から17歳の年齢層ではSnapchat、Pinterest、Tumblrなども広く親しまれている。出会い系サイトのTinderも人気サイトだ。これは気になる結果だ。
インドの若者のソーシャルメディアとのつき合い方については、こんな結果も出ている。
・72%は、たくさん「いいね!」をもらうと満足する一方、58%は、もらえないと落ち込んでしまう。
・92%がネット上で有害なコンテンツに関わりを持ったことがある。
・49%が自分の関わった有害コンテンツを削除できると考えている。
・71%は、知らない人とネットで交流がある。
・親とネットの安全策について話し合ったことがあるのはわずか46%に過ぎず、52%は親が気にしていないだけだと答えている。
・70%が週に5時間以上ネットを利用している。使用端末はデスクトップが最も多い(41%)。
・学校でソーシャルメディアにアクセスしたことのある若者は約半数(52%)で、8歳から12歳では57%、13歳から17歳では47%である。
・57%は、ネット上でいじめや嫌がらせを受けた場合、どう対処すればいいかわからないと答えている。
はびこるネット上の中傷
インドでは、10代の若者やその少し下の幼い世代が、ネットの入力内容が連絡先情報などの機微情報であることを知っていながら、それらをネット上に公開したり取り扱ったりしているのが実態だ。
ネット上の中傷もまた、インドにおける10代の感情表現手段としてのソーシャルメディア利用の課題の一側面である。同調査によれば、67%近くがネット上の嫌がらせを目にしており、そのうちの36%が、自身が嫌がらせを受けたと回答しているのだ。内容は、外見(46%)、知的レベル(45%)、宗教/人種(40%)といったようなものだ。さらに、約57%がネット上のいじめや嫌がらせを受けた場合、どう対処すればいいかわからないと回答している。数値を見る限りでは、インドではネット上の中傷がはびこっているといえよう。
【次ページ】文化的な大人と子供の「距離感」が子どもを守る障害に
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