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- 2015/12/28 掲載
徳島県がOSSを地元開発して年5億円削減、それでもIT産業活性化には結びつかなかった理由
長崎県の手法に学びOSS導入先進県として歩み始める
「情報システム課では全庁で利用するシステムしか見ていなかったので、各部署が個別に導入したシステムについては把握できていませんでした。そのため、まずは全体を把握するところからスタートしました」(山住氏)
各部署の業務に特化したシステムは、それぞれの部署が発注し、個別最適化されたサイロ型で導入されていた。調査の結果、そうしたシステムが庁内に大小250以上もあり、機器やソフトウェアの重複も多いことが明らかになった。
県庁全体のICTコストを削減し、なおかつガバナンスを強化するためには、重複するシステムを統合し、全体で最適化する必要があった。この大がかりなシステム再構築に合わせて、総務事務系のシステムも導入し、業務全体の効率化を図るという方針が定められた。
「ところがタイミングがよくありませんでした。地方交付税の削減やリーマンショックがあり、予算確保が難しい状況に追い込まれたのです。とはいえ、そのままの状態では重複したシステムの維持費を負担し続けることになります。なんとか低コストでシステムを再構築し、定期支出を抑える方法はないかとさまざまな自治体から情報収集を行いました」(山住氏)
「ソフトウェア自体は無償なので、ベンダーが提供するパッケージ製品に比べて大幅なコストダウンが可能と考えました。ただし条件があったのです。それは、導入の際には長崎県のITベンダーを使うということでした」(山住氏)
システム自体を無償提供する代わりにインテグレーションを地元企業に請け負わせることで、県外からの収入を増やすというのが長崎県の狙いだった。しかし地元の大規模案件である県庁のシステム再構築に他県のベンダーが参入するという話は、当然ながら徳島県のITベンダーが反発した。導入までは長崎県のITベンダーが担当し、その後の保守・運用は地元企業に委託するということで一時は決着しかけたが、最終的には受け入れられないという結論にたどりついてしまった。
「結局一部のシステムについて、最新のシステム設計図を作成、委託した上で徳島のITベンダーに構築してもらうという手法を取りました。それでもゼロから開発するよりはトータルコストを低く抑えることができました」(山住氏)
【次ページ】地元開発で年5億円削減、それでもIT産業活性化には結びつかなかった理由とは
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