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  • 2014/11/14 掲載

ガートナーが提言するデジタル・ビジネスとは?抜本的な技術革新によりすべてが変わる

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ガートナーでは数年前から「ソーシャル」「モバイル」「クラウド」「インフォメーション」という4つの力が交わる「力の結節(=Nexus of Forces:力の結節)」の重要性を指摘してきた。そして今そこに、新たに「ITの歴史でもっとも画期的なものになる」というスマート・マシンやIoT(モノのインターネット)が登場してきた。これらの技術革新によって、既存のビジネスは大きな変革がもたらされるだろう──米ガートナーのシニアバイスプレジデントで、リサーチ部門最高責任者であるピーター・ソンダーガード氏はそう提言する。すなわち、「デジタルビジネス」の時代の到来である。

4つの力とIoTが組み合わさることで新たな売上が生み出されていく

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米ガートナー
シニアバイスプレジデント
リサーチ部門最高責任者
ピーター・ソンダーガード氏
 ガートナーは、今後のビジネスが向かう方向性を「デジタル・ビジネス」と表現している。デジタル・ビジネスとは、仮想と物理の世界を融合して人/モノ/ビジネスが直接つながり、顧客との関係が瞬時に変化していく状態が当たり前のビジネス形態のことで、そこではほぼ全ての企業が、現在利用しているITを根本的に見直す必要に迫られることになるという。

 米ガートナーのピーター・ソンダーガード氏は、「我々は今、抜本的な技術変革期の真っ只中にいる」と指摘し、「ソーシャル、モバイル、クラウド、インフォメーションという4つの力(=Nexus of Forces:力の結節)に、IoTスマート・マシンが組み合わさることで、これから20~30年といったスパンで企業や政府において様々なことが変革されていく」と強調した。

 ソンダーガード氏は、企業におけるテクノロジの利用段階を振り返り、その第一フェーズが業務プロセスを変革するためのものだとすれば、第二フェーズはビジネスと企業、人を結び付けて統合するものだと説明する。

「これが過去10年間見てきたEビジネスだ。そして次の段階、第三フェーズが“デジタル・ビジネス”で、人とモノと企業もしくは業務の結び付きは、インタラクション(=相互作用)をもたらすものとなる」

 その根幹にあるのがIoTだ。これは先の4つの力を組み合わせることによって生まれてくるもので、新しい売上(市場)を企業にもたらすものとなる。

「たとえばデバイスやセンサーをプロダクトの中に埋め込むことによって生まれてくる新しい売上がある。またIoTを実現するための通信やソフトウェアからも、新たなビジネスが期待できるだろう。さらにその周辺で開発されていくサービスからも生まれてくる。その各々が企業や政府機関に影響を及ぼしていくことになる」

 ガートナーでは2013年、2020年までにIoTによって生み出される経済価値は、グローバル規模で1兆9000億ドルになると発表している。

デジタル・ビジネスに求められるIT部門、人材像

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 それではこうした状況下において、企業のCIOやIT組織は何をすべきなのか。

 従来の企業におけるIT予算配分は、内部の業務プロセスのためにその70%を割き、変革のためのIT予算は30%に過ぎなかった。しかし、デジタル・ビジネスをドライブする「ビジネススタートアップになるためには、この予算配分が変わっていかなければならない」(ソンダーガード氏)。

 またガートナーの調査によれば、IT部門における従来型のIT人員配置は、ITマネジメントに8%、アプリケーション開発に21%、アプリケーションサポートに18%、サービスデスクに10%、インフラ/運用に39%、ファイナンシャル/統治に4%という構成比率になっている。

 これに対して、デジタルスタートアップ企業におけるデジタル化人員の配置は、リーダシップ/管理に10%、デジタルプロダクトリーダシップに20%、カスタマエクスペリエンスに8%、データサイエンティストに20%、ソフトウェア開発に17%、インフラ/運用に15%、サプライヤ管理に10%という構成比率になるという。

「今後IT部門は、自社が将来に向けて何が必要かという理解に基づいて、今の人員配置を変えていく必要がある。また一般的な視点になるが、従来型企業とデジタルスタートアップ企業で比較した場合、IT要員の数は前者が1なら、後者は4分の1ぐらいだろう」

 デジタルスタートアップ企業では、インフラ向けの要員やアプリケーション開発の要員はより少なくなり、一方でデータ分析やユーザーエクスペリエンス系の人員が多くなる。

 そして現状、多くの大企業がフォーカスしているのが、モバイル系の人材だ。これが今後はスマートマシンやIoT、ロボット工学、判断の自動化、倫理といった領域に移っていく。

 さらに5年後には、システム統合をする人であり、デジタルアーキテクトであり、さらには法規制やリスクに関する専門家、また弁護士も欠かせなくなるという。

「こうした変革は、CEOが主導しなければならない。つまり投資すべきはデジタル・ビジネスだということを自覚する人がCEOその人であり、ボードメンバーでなければならない」

 その上でソンダーガード氏は、2015年の戦略的テクノロジトレンドのトップ10を提示した。

【現実世界と仮想世界の融合】
1.あらゆる場所のコンピューティング
2.モノのインターネット
3.3Dプリンティング

【あらゆる場所のインテリジェンス】
4.高度でパーベイシブな不可視のアナリティクス
5.コンテキスト・リッチ・システム
6.スマート・マシン

【新たなITリアリティの出現】
7.クラウド/クライアント・コンピューティング
8.ソフトウェア定義のアプリケーション/インフラストラクチャ
9.WebスケールIT
10.リスク・ベース・セキュリティ/セルフプロテクション

 最初の3つが、運用の技術とITとを組み合わせて何が生まれてくるかという視点、次の3つが、ビッグデータの活用で具体的に何が可能になるかという視点、そして最後の4つが、従来型企業からデジタルスタートアップ企業になっていく上で、予算配分がどう変わっていくかという視点からのものだ。企業が成功するためには、これらのうち、どれとどれを組み合わせていくかを考えていくことが重要だ」(ソンダーガード氏)

【次ページ】今後必要となる人材像、“デジタルヒューマニスト”とは?
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