0
会員になると、いいね!でマイページに保存できます。
最近の日本のスマホ市場は、Pixelをはじめ10万円前後のミドルハイ端末がバラエティー豊か。今まで3万円台の低価格スマホで数を取ってきたメーカーも、このレンジに注力している。英ロンドンを拠点とするデジタル機器メーカーNothing Technology(以下Nothing)が4月に日本市場に本格参入したが、同社が展開する「Nothing Phone」シリーズもこのレンジだ。また、透明、LED内蔵、FeliCa対応の「Nothing Phone(2a)」の一部パーツは、日本製(三菱ケミカルグループ)だという。デザイン性の高さで注目されるNothingだが、群雄割拠の日本市場で生き残っていけるだろうか。
海外メーカーがミドルハイの端末を続々投入
広く周知されているが、日本のスマホ市場はアップルのiPhoneが50%以上のシェアを占め、残りを日本メーカーと
グーグル、
サムスン、中国メーカーで分け合っている状態だ。日本メーカーも頑張ってはいるのだが、円安や部材価格高騰の影響で厳しい状態が続いている。20万円前後もするフラグシップモデルは数が売れず、3万円台以下のローレンジモデルは利益が出にくい。主戦場は5万円から10万円台のミドル、ミドルハイレンジで、グローバルメーカーがコストパフォーマンスに優れた魅力的なモデルを投入する中で闘わなくてはならない。
それに加え、ここ最近は海外メーカーの日本市場に対する積極的な姿勢が見える。たとえば、Lenovo傘下のモトローラ。以前は買いやすいミドルレンジの「moto g」シリーズをプッシュしてきたのだが、最近はプレミアムラインの「edge」シリーズと高額な折りたたみスマホ「razr」シリーズに注力している。おサイフケータイにも対応するなど、日本市場に合った製品、ブランド価値を高める高級モデルを日本に継続的に投入するようになった。
複数のキャリアにキッズ向け端末やホームルーターなどを納入してきた中国ZTEは、独自のハイエンドスマホブランド「nubia」を3月から日本でも展開するようになった。ZTEのスマホは、ワイモバイルで「Libero」というブランドで扱われており、実はnubiaの高コスパ折りたたみスマホ「nubia Flip 5G」は、ワイモバイルで「Libero Flip」として一足早く発売されたものと、ほぼ同じものだ。
オッポやシャオミも、大手キャリアに継続して製品を提供している。
中でもシャオミは5月に、ライカ監修のカメラを搭載したフラグシップモデル「Xiaomi 14 Ultra」を日本で発売。シャオミはもともと、日本ではコストパフォーマンスに優れた中・低価格帯の「Redmi」シリーズを中心に展開してきたが、22年12月にハイスペックな「Xiaomi 12T」シリーズを投入。今年5月にはフラグシップの「Xiaomi 14 Ultra」の日本発売にこぎ着けた。
ロンドンを拠点とする「Nothing」が日本に本格参入
群雄割拠の日本市場に本格参入したのが、ロンドンを拠点とするデジタル製品のスタートアップ「Nothing Technology」だ。Nothingは、中国のスマホメーカー「OnePlus」(現在はオッポに吸収)の共同創業者カール・ペイ氏が2020年に立ちあげたブランドで、Androidスマホの「Nothing Phone」、ワイヤレスイヤホンの「Nothing Ear」などを開発・販売している。
Nothingの最大の特徴はデザインだ。透明な素材を使って製品の内部が見えるようになっている。また、スマホは背面にLEDを配置して、着信時などに点灯する「Glyph Interface(グリフ・インターフェース)」というギミックを採用。ユニークでスタイリッシュなだけでなく、点灯パターンで相手が分かるといった機能もある。
こうしたNothingの製品は、スニーカーやアパレルを扱うセレクトショップで先行販売されるなど、ガジェットにもデザインやファッション性を追求する人に支持されている。
そのNothingが、4月にイヤホンの新製品を日本で発表。同時に日本法人の設立を発表し、日本市場に本格参入した。日本法人には、かつてソニー・エリクソンやソニーモバイル(現ソニー)でXperiaの商品企画に携わってきた黒住 吉郎氏が、日本担当マネジメントディレクターとして入社。スマホやオーディオ業界を知り尽くすキーパーソンが加わったことで、日本市場におけるNothingの成長に期待がかかる。
【次ページ】FeliCa対応「Nothing Phone(2a)」はSNSで大反響
関連タグ