- 2025/03/05 掲載
トランプ関税で「iPhone価格」爆上がり? 日本も他人事ではない「最悪のシナリオ」
連載:米国の動向から読み解くビジネス羅針盤
対中国の追加関税「計20%」に
米国国勢調査局によると、米国の輸入相手国はメキシコ、中国、カナダがトップ3で、輸入総額の42%(2024年)を占める(図1)。
このうち中国からの輸入額で最大の品目は、米国国際貿易委員会(USITC)の輸入統計(2023年)によると、440億ドル(約6.7兆円)のスマートフォンで、総額の10.4%を占めている。次いで361億ドル(約5.4兆円)で8.5%を占めたノートパソコン、132億ドル(約2兆円)で3.1%のリチウムイオンバッテリーが続いた。さらに、米国の輸入スマホの76%、ノートパソコンの78%、リチウムイオンバッテリーの70%が中国産である(図2)。

こうした中、第2次トランプ政権は2月4日、国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づき、すべての中国原産品の輸入に対して、既存の関税率に10%を上乗せする追加関税の賦課を発動した。3月4日にも新たに10%の賦課を発動しており、上乗せされる関税は計20%となった。第2次トランプ政権では第1次政権時と違い、中国から輸入されるスマートフォンやノートパソコンなども影響を受ける見込みだ。
この追加関税は、iPhoneの85%、それ以外のデバイスの62%を中国で製造するアップルにどのような影響を与えるのだろうか。
iPhone販売「低迷が加速」か
中国産iPhoneへの高関税は、明らかにアップルにとって死活問題である。実際に市場では、ただでさえ軟調なiPhone販売に、トランプ関税でさらなる減速が起きる可能性が意識され始めている。2025年1月には、米投資銀行のループ・キャピタルやオッペンハイマー、米金融大手ジェフリーズなど5社がアップル株の投資判断を引き下げ、その後アップル株は下げている。ティム・クックCEOも、手をこまねいているわけではない。フロリダ州にあるトランプ氏の邸宅「マーアラゴ」詣でを1月と2月に2回も行い、1月20日の就任式に向け個人で100万ドル(約1.5億万円)を寄付。さらには、政治的な信条が違うトランプ大統領の就任式に出席し、無表情ながらも最大の祝福の意を表したのである。
これらの矢継ぎ早の行動には、アップル製品への関税適用除外への期待が込められていたと思われる。事実、第1次トランプ政権時には、iPhoneの関税適用除外を申請して認められたからだ。しかし、現在のところ回避できていない。
では、価格面ではどれほどの影響があると見られているのか。 【次ページ】追加関税10%で「40ドル」、最悪の場合「○○ドル」値上げ?
関連コンテンツ
PR
PR
PR