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- 2023/07/15 掲載
3年後600万台へ拡大するスマートウオッチ市場、アップルも苦戦するあの路線
連載:デバイス新潮流
前年度比13.7%増、増加するスマートウオッチ販売台数
ケータイを持つようになって腕時計をしなくなった人が増えた。しかし、最近はスマホと連携するスマートウオッチやスマートバンドを着け、スマホからの通知を受けたり活動量を確認したり、さらには決済時に読み取り機にかざして利用したりする人が増えてきている。MM総研が5月下旬に発表したスマートウオッチの国内販売台数の推移・予測に関する調査によると、2022年度通期の国内販売台数は前年度比13.7%増の390.3万台。21年度はコロナ禍による在宅時間の増加による健康意識の高まりから大きな需要が生まれたが、その反動や円安による物価高、部材費の高騰による端末価格の上昇もあり、22年度の成長速度は落ち着いた。市場は2024年度に500万台を突破し、2026年度には600万台規模に拡大するとMM総研は予測している。
メーカー別の台数シェアではアップルが1位。2015年に初代「Apple Watch」を発売して以降、8年間連続でトップをキープし、日本におけるスマートウオッチ市場で圧倒的な強さを誇っている。Apple Watchはグローバルでも強く、22年の出荷台数シェアは34.1%と世界でもトップを維持している。
高級路線を探るファーウェイ、ガーミン、グーグル
ITメーカーは、ラグジュアリー系ではなくスポーツ系でスマートウオッチの高級ラインを探っている。「Apple Watch Ultra」はApple Watch史上最大となる49mmのチタンケースに最大36時間駆動するバッテリー、100mの耐水性能、高精度な2周波GPS、水深計と水温センサーなどを搭載。ダイビングやトレイルランニング、過酷な登山にも使えるタフなスマートウオッチで12万円を超える価格で販売されている。
ファーウェイからもダイバーズスマートウォッチ「HUAWEI WATCH Ultimate」が登場している。Apple Watch Ultraの40mよりも深い100mまでダイビング可能な防水性能を備え、見た目もクラシカルなダイバーズウォッチそのものだ。エクスペディションモードを利用すると2周波GNSSで、より正確な測位が可能。通常使用で14日間の長時間バッテリーは泊まり登山にも耐えられる。
なお、ファーウェイは日本でスマホを取り扱うことが難しくなったため、IoT機器に注力している。スマートウオッチでも、完全ワイヤレスイヤホンを収納できる「HUAWEI WATCH Buds」、手首で血圧を測れる「HUAWEI WATCH D」など非常にチャレンジングな製品をリリースしている。
それぞれのスポーツに最適化したスマートウオッチを提供して、独自のスタンスを確立しているのが、GPS技術に定評のあるガーミンだ。ハイエンドモデルは風防に独自のサファイアガラスを使用しソーラー充電に対応。30日間以上の長時間バッテリーと高精度な位置情報、タフな使用に耐える素材と機能美により、プロのアスリートからビジネスパーソンまで支持されている。
MM総研の調査報告では、ランキング外ながらもGoogleの「Pixel Watch」に注目している。スマホの「Pixel」が2023年1月から3月の国別出荷シェアで日本が世界最多だったという報道もあり、そのコンパニオンデバイスとしてPixel Watchが選ばれる可能性は高まっている。ただ、Pixel Watchが採用するWear OSがこなれていない印象で、使い勝手はまだ改善の余地がある。時計そのもののデザインは評価が高く、今後のアップデートに期待したいところだ。 【次ページ】健康を追求のApple Watchはあのラインで苦戦
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