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- 2023/12/25 掲載
NTT法廃止にKDDI・ソフトバンク・楽天が猛反発する理由、NTTに抱く3つの不信感
連載:デバイス新潮流
そもそもNTT法とは何か?
そもそもNTT法(日本電信電話株式会社法)とは、前身の電電公社が現在のNTTとして民営化され、日本電信電話公社法が廃止されるに伴って作られた法律だ。現時点でNTT法の規制対象となっているのはNTT(持株会社)とNTT東日本、NTT西日本の3社だ。NTTとNTT東西は、電電公社が敷設・運用してきた電話回線網、局舎などの「特別な資産」を受け継ぐ事業者であるため、NTT法によって業務内容や経営に関して一定の制限や国による関与が規定されている。
最低限の通信・通話サービスを全国一律に提供する義務(ユニバーサルサービス義務)が課せられており、発行済み株式総数の3分の1以上を政府が保有する。また、外国人による株式取得の制限や外国人役員の禁止といった規制もある。
なぜNTT法「廃止」の議論が浮上?
今年夏ごろから政府内で、防衛予算の財源とするためにNTT株の売却案が浮上し、いつしかNTT法廃止の議論に発展していった。NTT法の改正または廃止なくしては、株式売却は実現しえないためだ。12月5日には自民党の政務調査会が「日本電信電話株式会社等に関する法律のあり方に関するプロジェクトチーム(PT、座長・甘利 明衆院議員)」が取りまとめた提言を発表。その中で2025年をめどにNTT法の廃止が提言されている。
PTがNTTとKDDI、ソフトバンク、楽天モバイル4社の社長にヒアリングを行い、各社社長はNTT法の見直しに対する考えを表明してきた。NTTの島田 明社長は「NTT法は時代遅れの法律、ほぼ役割を終えた」との認識で、「NTT法は結果として廃止になる」と発言。一方、ほかの3社は一貫してNTT法の「改正」には賛成、「廃止」には反対の立場を表明している。
NTTが求めている3つのこと
NTT側が求めていることは大きく3つ。まず、NTT法で定められている研究開発の推進・普及責務(研究成果の開示義務)の撤廃だ。光電融合技術をベースにNTTが中心となって推進している「IOWN(アイオン)」などの研究開発を展開していくうえで、経済安全保障や国際競争力強化の支障となることから、研究成果の開示義務は撤廃すべきと主張している。2つ目はユニバーサルサービス義務について。NTTは、音声・データ通信を固定・無線・衛星などを用いて、各地域に最も適した方法で最も適した事業者が担うべきとしている。また、NTT法で定められている固定音声サービスを、電気通信事業法で定められているブロードバンドサービスのユニバーサルサービス義務に含め、海外の主要国と同様に電気通信事業法に統合すべきとも主張している。
3つ目は外資規制について。NTTは、外資規制をNTTだけに課すことは無意味だと主張している。たとえば、携帯電話事業者が保有する顧客情報の管理システムやコアネットワークも守らないと、モバイルユーザーに安定した通信サービスを提供できない。NTT法でNTTだけを守っても無意味であり、外為法などで主要通信事業者を対象とすることを検討すべきと主張している。
NTTの島田 明社長は、「NTT法の役割はおおむね完遂」されており、「結果的にNTT法は廃止される」と発言している。 【次ページ】なぜKDDIら181者は「廃止」に反対?3つの不信感
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