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新型コロナウイルスの感染拡大により在宅ワークが広がる中、「自宅待機など閉鎖措置や野外活動の制限などが、児童の視力に悪影響を及ぼしている可能性がある」というCNNの調査結果が発表された。視力は生産性に大きく関わるため、今後、在宅ワーカーとして働く上で、目のケア方法などを認識しておくことは重要になる。そこで、
『1日3分見るだけでぐんぐん目がよくなる! ガボール・アイ』の著者である眼科医の平松類氏に、「在宅ワーク時にやりがちな目に悪い行動」や「簡単にできる視力回復法」などをお聞きした。
目が疲れていると、生産性が下がる理由
眼科医の平松類氏は、ビジネスパーソンにとって視覚は極めて大切だと言う。なぜだろうか。眼科医の平松氏は、「たとえば、視力も下がらないような軽度の目の不調であるドライアイでさえも、年間の生産性低下額は48万7千円と言われています(ドライアイ研究会と参天製薬の共同研究による)」と説明する。
これが老眼や白内障であれば、さらなる生産性低下を引き起こすことは間違いない。
特に、視力の影響は肉体労働よりも頭を使った脳労働のほうが出やすいい。その理由は頭脳労働の仕組みにある。
頭脳労働の場合、見ることで情報をインプットし、脳で理解する。アウトプットするときも目で見ながら成果物を作る。情報のインプットにもアウトプットにも目が大きく関わるためら、目の作業効率が落ちれば、作業仕事全体の効率もグンと落ちることになるのだ。
実際に、空調が効きすぎて乾燥している部屋だと目が乾いたり、モニターが暗かったりなど、目の状態が悪いと、作業効率は極端に下がるという。
また、この時、疲れているのは目だけではないという。視覚が悪くなると脳にも負担がかかるのだ。
目に負荷のかかった状態が続くと、そのうち脳も疲れてきて、考える作業の効率も落ちる。あまり頭を使わなくてもいい単純作業であっても、視覚が悪い中で作業を続けていると、考える気力がなくなったり、アイデアが出てこなくなったりすることがあるという。
目が疲れていると、商談に悪影響な理由
もう1つ重要なことがある。平松氏は、「目の状態によって相手に与える印象が変わるということが研究でわかっています。目の状態が悪いと相手に悪印象を与え、就職や転職で不利になることがあるのです」と話す。
就活だけでなく、顧客や上司にも悪印象を与え、商談がうまく進まなかったり、人事評価が下がったりすることも、容易に想像できる。
目が充血していると寝不足に見え、「この人、今しっかり仕事ができてないのでは?」という印象を持たれる。目が見えにくいときは目を細める動作をしがちだが、そうすると相手に怖い印象を与える。終始まばたきをしている人は、実年齢より老けて見える。「目は口ほどにものを言う」というが、目が相手に与える印象はそれほど大きいのである。
注意点(1):「机・イス・照明」の選び方
平松氏によると、在宅ワークが増える中、オフィスにいるよりも目に負担がかかる要素が増えているという。目に負担をかけないためには何を心がければ良いのか。平松氏からのアドバイスを元に、注意点を3つ挙げたい。
ロート製薬による調査では、コロナ禍によって、在宅ワークをしている人の22%はデジタル媒体への接触時間が1日5時間以上増えているという。要するにPCの前で作業する時間が大幅に増えたということだ。PCが目に負担をかけることは言うまでもない。
厚生労働省では、PCなどの端末機器でVDT(VisualDisplayTerminal)作業に従事する人の健康と安全を確保するために、「VDT作業における労働衛生管理基準」を設けており、オフィス環境において多くの企業がこの基準に沿っている。
一方、在宅ワークの場合、同じく厚生労働省から「自宅等でテレワークを行う際の作業環境整備」というガイドラインが出されているが(図)、自宅にこの通りの環境を揃えられる人はごく一握りだろう。それでは、どうすれば良いのか。
「できれば机・イス・照明の3つは確保したいところです。しかしながら、自宅に専用の事務机がなく、食卓などで作業せざるを得ない人も多いでしょう。そこで3つのうちでこれだけはと言われたら、私はイスだけでも高さが調整できるものを買うことをおすすめします」(平松氏)
イスの高さを調節することで、モニターが水平から15度ほど下がった角度になるのがベストポジションだという。それよりモニターが上だと目が疲れやすくなり、下だと首が疲れやすくなる。
とはいえ、照明が重要なことは言うまでもない。間接照明などの暗い照明は問題がある。できればLEDのシーリングライトが良いが、これも低価格の製品だとブルーライトが多く、目に負担がかかる。また電気スタンドなど等で手元を明るくすることも重要だが、手元だけ明るくし過ぎてもメリットがない。
なお、電球の色には大きく白色と黄色があるが、目に与える影響は変わらない。
【次ページ】「注意点の2~3」や「簡単にできる3つの視力回復トレーニング」、まるごと解説
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