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今や世界の経済・社会に最も影響力を持つ存在となった「デジタルプラットフォーマー」。メディアでこの言葉を見ない日はなくなった「GAFA」(グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル)が代表格だ。その正体は何なのか。今後、どうなっていくのか。総務省が先頃公表した「令和元年版 情報通信白書」から興味深い情報をピックアップし、考察してみたい。
「デジタルプラットフォーマー」をどのように定義するか
まず、「
令和元年版 情報通信白書」(以下、白書)では「デジタルプラットフォーマー」をどのように捉えているのか。
検索サービスを利用して知りたいことを検索し、SNSでコミュニケーションをとり、インターネット上で動画や音楽を楽しむことは、もはやありふれた日常生活の一部となっている。また、インターネット上で欲しいモノの購入や旅行、宿泊、食事などの予約をすることで、生活の利便性が向上している。
さらに、インターネット上で空間や移動、モノ、スキル、おカネをシェアする「シェアリングエコノミー」や、単発または短期で仕事を受注する「ギグエコノミー」と呼ばれる仕組みが広がるなど、経済や社会の姿を大きく変えてきている。白書では、これらの場を提供しているICT企業を「デジタルプラットフォーマー」と呼んでいる。
デジタルプラットフォーマーといえば、GAFA(グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル)と呼ばれる米国企業の一群や、BAT(バイドゥ、アリババ、テンセント)と呼ばれる中国企業の一群が、その高い企業価値や実際の成長などから、特に注目されている。
白書では、これらに5社を加えて主なデジタルプラットフォーマーとして表1のように紹介している。
デジタル経済の中でのプラットフォーマーの「位置」
では、デジタル経済におけるデジタルプラットフォーマーとは、どのような位置付けなのか。
デジタルプラットフォーマーはインターネットを通じ、人と人、人と企業、企業と企業といったあらゆる活動の主体を結びつける場を提供している。また、遠距離の主体であってもリアルタイムで結びつけることを可能としているとともに、広い範囲でのマッチング機能を通じ、小規模なニッチマーケットの成立に貢献している。
すなわち、デジタルプラットフォーマーの提供するサービスは、デジタル経済の特質である、時間や場所、規模の制約を超えた活動を可能とする場であるとともに、各主体の関係の再構築を実現する場としても機能している。
このように、「デジタルプラットフォーマーはデジタル経済そのものを機能させる舞台を提供する役割を果たしており、だからこそ隆盛していると考えられる」というのが白書の見立てだ。これはすなわち、デジタル経済においてデジタルプラットフォーマーというのは、必然の存在であるということだろう。
「デジタル経済でデジタルプラットフォーマーは必然の存在
では、デジタルプラットフォーマーはなぜ巨大化するのか。白書では、その理由を「ネットワーク効果」と表現している。ネットワーク効果とは、あるネットワークへの参加者が多ければ多いほど、そのネットワークの価値が高まり、さらに参加者を呼び込むという現象のことをいう。
この結果、多くの利用者を抱えるサービスはさらに利用者を獲得することができ、規模を拡大していく。デジタルプラットフォーマーが提供するサービスにはこのようなネットワーク効果が働くため、「雪だるま式」に利用者を拡大していく傾向にある。
さらに、このネットワーク効果には、図1のように「直接」と「間接」の2つがある。こうした直接、間接のネットワーク効果による雪だるま式の利用者拡大が、デジタルプラットフォーマーの急速な成長の要因になっているわけである。
【次ページ】デジタルプラットフォーマーの今後を占う4つのシナリオ