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  • 2019/03/18 掲載

アビーム 岩澤俊典 社長に聞く、外資に負けない「日本流デジタルシフト」戦略とは

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「自動車における『CASE』のような大変革があらゆる産業に迫ってくる」。従業員約5500人を擁するアビームコンサルティングの岩澤俊典社長はこう確信し、日本企業のデジタル・シフトを支援する。デジタル化の波に乗り遅れている日本企業は少なくないとの見方に対し、岩澤氏は「危機感が強い経営者が多く、トップ自ら現場にデジタル化を指示している」と反論する。
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アビームコンサルティングの岩澤俊典社長はどのように日本企業のデジタル・シフトを支援しているのか
(提供:アビームコンサルティング)

企業の自動運転を支援するアビームコンサルティング

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 「100年に1度の大変革が起きている」ーー。自動車メーカーの経営者がこう指摘した背景にあるのが、テクノロジー・トレンドの「CASE(Connected、Autonomous、Sharing & Services、Electrification)」である。コネクテッド(つながる)や自動運転、シェアリング、エネルギー(電導化)による自動車の変革のことだ。

 最も大きなトレンドは、自動車を所有することから利用へと変わるシェアリングだろう。自動運転、つながる車がそれを加速させるように思える。

 岩澤氏は、この自動車業界に迫るCASE変革の波が、多くの産業にも押し寄せるという。確かに、企業の活動は他企業や公共機関、消費者などと深くつながり、受発注などの業務がどんどん自動化されている。

 モノやサービスを共有化するシェアリングは自動車や自転車などの乗り物から家電、住居、服などへと広がっている。岩澤氏は「人が介在しない、自動運転の世界に向かっている」とし、企業のCASE対応を支援する。

デジタル化は「20~30年前から」起こっている

 実は、企業のこうした構造変革は20~30年前から継続的に起きており、少しずつIT化が進んでいる。もちろん、使うテクノロジーは新しくなり、ITにとって変われないと思われたものまで出始めている。

 それを実現するのが、AIやIoT、クラウドなどによるデジタルの活用だ。とはいっても、業務変革のアプローチは、岩澤氏がコンサルティング業界に入った1990年代と変わっていないという。

「当時、経営トップらは統合基幹業務システム(ERP)を深く理解していなかった。それでも、これまでの手作りから、『でき上がったモノがあるなら、使えないのか』となり、“既製服”に業務を合わせることを指示した」(岩澤氏)

 AIやIoTなどを駆使するデジタル化も同じだ。経営者の理解度はまだ低いかもしれないが、「データをうまく使って、顧客を囲い込めないか、などとデータの有効活用を指示している」(岩澤氏)

 世の中の変革を察知し、デジタル化を推進したい経営者は増えているということだ。

日本企業のグローバル戦略に寄り添う

 アビームは2003年、デロイトコンサルティング及び監査法人トーマツから分離し、外資系から日本の経営コンサルティング会社としてスタートした。2004年11月、NECの金杉明信社長時代に同社と資本提携する。

 当初、NECはアビームの株式35%を取得するが、2015年に完全子会社化している。その間、アビームの業績は順調に推移し、2018年3月期の連結売上高は約748億円に達した。

 社員数も国内に約4000人、海外に約1500人の規模になり、日本企業のグローバル化を支援できる体制が整いつつある。ただし、目下のところアジア中心ではある。

 岩澤氏がそんなアビームの社長に就いたのは、10年前の2009年4月の42歳の時だった。

「欧米で生まれたコンセプトやソリューション、考え方、ルールなどをそのまま、日本に持ち込むことはしない。日本の文化や企業の生い立ちに必ずフィットするとは限らないからだ」(岩澤氏)

 そこに、アビームの主体性、存在価値があるのだろう。「欧米の事例を真似ても成功できない」(岩澤氏)とし、日本企業が求めるガバナンスを効かせる道を探し出し提案する。

 
画像
「CASE」にも、「日本流の戦略」があるはずだ
(© zapp2photo – Fotolia)


【次ページ】海外展開で直面する課題、日本企業の本社の考えをどう浸透させるか
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