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- 2025/02/05 掲載
【付録付き】日米のマッキンゼーデジタルトップに聞く、取り組むべき「DX成功戦略」
デジタルとAIが競争優位性につながる理由
デジタルとAIは、なぜ企業の競争優位性につながるのか。ラマール氏は、日本から生まれて世界中の企業が学んだ「カイゼン」というキーワードを使って、次のように説明する。![photo](https://www.sbbit.jp/article/image/153718/660_bit202412031653107981.jpg)
シニアパートナー
エリック・ラマール 氏
![画像](https://www.sbbit.jp/article/image/153718/l_bit202412031654032940.jpg)
「端的に表現すれば、それは新しい『カイゼン』だからです。『カイゼン2.0』もしくは『カイゼン with テクノロジー』と呼んでもいいでしょう」(ラマール氏)
明確なエビデンスもある。マッキンゼーが80の銀行を5年間にわたって調査し、DXへの取り組みが進んでいるトップ20行と遅れているボトム20行を比較したところ、株主総リターン、売上増加などのすべての指標でトップ20行が上回っていた。
書籍『REWIRED』では、こうしたさまざまな客観的指標とともに、DXに取り組んで成果を挙げている企業事例も紹介されている。
生成AIよりも重要なこと
現在、生成AIが注目されているが、本書では生成AIよりも「AIとDXによる企業変革こそ最も価値がある」と述べている。つまり、企業変革が本来の目的であり、生成AIは目的ではないということだ。そしてラマール氏は、より重要なのは「チェンジマネジメント」だと、次のように述べる。「テクノロジーを使って何かをカイゼンしようとすれば、必ず事業プロセスの変革が必要です。そして、そのためにはチェンジマネジメントが不可欠です。言い方を変えると、チェンジマネジメントなくしてテクノロジーをいくら採用しても、新しい価値は生み出せません」(ラマール氏)
たとえば、AIを使って銅の年間生産量を10%増加させたフリーポート・マクモランでは、毎朝、オペレータがAIエンジンからレコメンドされた40のパラメータを設定する。
そして、それを3時間ごとに再調整するという。しかし、このオペレータが「私には20年の経験がある」といってAIのレコメンドを無視したら、いくらテクノロジーを導入しても意味はない。
「ほとんどの場合、テクノロジーが最も難しいハードルではないと私は考えています。重要なのはチェンジマネジメントです。そして、それを成功させるには、経営層がまず取り組まなければなりません」(ラマール氏)
チェンジマネジメントの重要性は日本企業においても変わらないと、黒川氏は次のように補足する。
![photo](https://www.sbbit.jp/article/image/153718/660_bit202412031655083486.jpg)
日本統括パートナー
黒川 通彦 氏
「たとえば、未来の需要量を予測するデマンドフォーキャストの仕組みを作っても、使われないことは少なくありません。営業側は当たっているのか当たっていないのか分からず、生産側はそれに従って作ったら余るかもしれない。新しい仕組みをどう活用するかという会話が欠けているのです。そこを変えるのがチェンジマネジメントです」(黒川氏)
【次ページ】マッキンゼー流「2025年の崖を乗り越えるアーキテクチャ」
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