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- 2025/04/01 掲載
なぜ、アジャイル開発で「失敗ばかり」するのか?「誤解だらけ」の4つの価値とリスク
アジャイルソフトウェア開発宣言が掲げる「4つの価値」
アジャイル開発は、柔軟性や迅速な価値提供を重視したソフトウェア開発手法として知られている。その基盤となるのが、2001年に策定された「アジャイルソフトウェア開発宣言(Manifesto for Agile Software Development)」だ。
この宣言は、当時ソフトウェア開発分野で活躍していた17名の専門家によってまとめられた文書であり、アジャイルソフトウェア開発における「4つの価値」とその価値に由来する「12の原則」について記されている。効率的でユーザーに寄り添ったシステム開発を目指す指針として、現在でも広く支持されている。
アジャイルソフトウェア開発宣言の核心部分には、「プロセスやツールよりも個人と対話を」「包括的なドキュメントよりも動くソフトウェアを」「契約交渉よりも顧客との協調を」「計画に従うことよりも変化への対応を」という4つの価値が掲げられている。この考え方は、過度に手続きや計画に依存する従来のウォーターフォール型開発の限界を打破するものだ。
しかし、この宣言を極端に解釈し、現場で誤用するケースも少なくない。詳しくは後述するが、宣言が伝えているのは、「左側(図の青い文字)」の価値を否定するのではなく、プロジェクトの状況に応じて「右側(図の赤い文字)」の価値をより重視するというバランス感覚である。
佐藤氏は「アジャイル開発では、プロセスやドキュメント、契約交渉、計画に従うことに偏りすぎることなく、適切なバランスを取ることが重要です。このバランスは、チームの成熟度やプロジェクトの目的に応じて変化します」と強調する。
アジャイル開発でよくある「誤解とリスク」

佐藤 治夫氏
Xアカウント:https://x.com/haru860
2024年5月から[トレラボ]にて、システム開発に関する自身のノウハウや考え方を記事として発信している。
まずアジャイル開発における代表的な誤解の1つが、「プロセスやツールよりも個人と対話を」という価値に関するものだ。これを、「プロセスを軽視しても良い」と解釈し、場当たり的に動くことで短期的な成果を求めるケースが見られる。佐藤氏は言う。
「たしかに、プロセスを最小限に抑えることが合理的な場合もありますが、それは熟練したチームや短期のプロジェクトに限った話です。要件定義や基本設計を省略すると、プロジェクトの初期段階ではスピード感が出ますが、長期的には頻繁な手戻りが発生し、開発効率が大きく低下します。
「包括的なドキュメントよりも動くソフトウェアを」という価値でも、しばしば誤解を招きがちだ。ドキュメント不要論の声が聞かれることもあり、若手エンジニアを中心にドキュメント作成を避ける/嫌がる傾向が散見される。だがドキュメント作成をまったく行わないと、システムの影響範囲を正確に把握することが難しくなり、不具合対応や改修に多大な時間を要するリスクが生じてしまう。
特に、人員が入れ替わるプロジェクトでは、先の個人との対話と合わせて最低限のドキュメントを整備し、ナレッジを共有することが重要です。これを怠ると、新たに加わるメンバーがシステムを理解するまでに時間を要し、結果的にプロジェクト全体の進行が遅れてしまいます」(佐藤氏) 【次ページ】もう2つの価値で見る「誤解とリスク」
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