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アクセンチュアの調査によると、海外ではCFOの役割が「企業価値創出のプロデューサー」へと変化しているという。 海外のCFOがデジタル投資を指揮する一方、日本のCFOは金庫番にとどまっている。この両者を分かつものは一体何だろうか。
「CFO(最高財務責任者)がデジタル化をけん引する」ーー。アクセンチュアが売上高10億ドル以上のグローバル企業のCFOらに調査した結果、その役割が“金庫番”からデジタルを活用した企業価値創出のプロデューサーへと拡大していることが見えてきた。
だが、同社日本法人が詳細を分析したところ、デジタル投資を指揮する世界のCFOに対して、日本のCFOは金庫番にとどまっていることが分かった。理由はどこにあるのだろう。
「経理・財務業務」の自動化が変える財務担当の役割
同社は3~4年に1回、経理・財務のあるべき姿などCFOの実態調査を実施してきたが、「今回はそれを超えたミッション、つまり、CFOの役割がどう変わっていくかを調べた」(戦略コンサルティング本部財務・経営管理グループ統括マネジング・ディレクター 山路篤氏)。
急速に進むデジタル化が、CFOにどんな影響を及ぼしているか調べたところ、「デジタルによる業務改善を統括する」との回答が8割近くもあった。
CFOの役割が経理・財務部門のオペレーションの効率化や事業管理の高度化から、事業のデジタル化をけん引し、事業のあり方改革へと広がっていることを物語る。
加えて、「経理・財務部門の業務を3年以内にテクノロジーにより自動化させる」との回答も87%あり、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)などを活用しての記帳や支払い、給与計算などの業務の自動化に着手し始めている。
「将来の変化に備えられる事業モニタリング体制を事業横断で構築できた」との回答も62%になり、業務改革に向けたデータの可視化に取り組むCFOの姿が見える
さらに、「経理・財務部門だけではなく、全社目線でデジタルにより価値を創出できる領域を特定すべきか」との質問には、81%が「そうだ」とする。CFOがデジタル化の効果と影響を検証する役割も担い始めているということだ。
これら回答率は、高成長な企業ほど高い傾向にあるという。そんな企業のCFOは「変革に積極的」と「デジタル・スキルの保有」「事業部からの期待大」という3つの特徴がみられるという。
たとえば、イギリスの電力会社のCFOは「以前は金庫番として財務管理に努め、軽薄な計画実行を事前に防ぐことがCFOの役割だったが、今はそれらを実施できて当たり前。それだけではCFOとしての価値を出せていない」と、デジタル化に深く関与する姿勢をみせる。
米採掘会社のCFOは「10年前、事業実態のモニタリングを実施できるようになるまで約30日間の時間を要したが、今は数日とほぼリアルタイムになり、早期の意思決定が可能になった」とし、データ活用と分析のスキルを磨き上げてきたことを明かす。
デジタル化に成功した米ウォルグリーン
アクセンチュアはそんなCFOによるデジタル活用の先進事例を紹介する。薬の販売から健康増進企業へと変革した薬局チェーンを運営する米ウォルグリーンだ。
たとえば、毎日8000歩以上を歩くなど一定条件をクリアした顧客に店舗で使えるポイントを付与するなどの健康管理サービスや、チャットなどを活用した医師への簡易相談サービス、常備薬の店舗受け取り予約サービスなどを提供する。
それらサービスを通じて、顧客に薬剤購入までのシームレスな体験も可能にし、売り上げを14年度の約760億ドルから18年度に約1310億ドルと70%超も伸ばしたという。
同社のCFOは就任後、年間のデジタル投資額を3倍に増やし、データ収集や活用を可能にする情報システムに刷新もしたという。
「これを達成したら、投資は成功」といった投資判断の指標も4から5つに絞り込み、迅速な意思決定を実現したという。もちろん、システム刷新やデータ活用はCIO(情報統括責任者)をはじめとするIT部門との密な連携を図っている。
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