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  • 2019/09/19 掲載

「デジタル」の成長エンジンを目指せ、ITのインフラ担当が生き残るための4つの心構え

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ビジネスのデジタル化が加速する中、企業のI&O(インフラストラクチャとオペレーション)部門の担うべき役割が、IT基盤の“お守り”から、ITによるビジネスの“支援”に大きく変わりつつある。ただし、両者で必要とするスキルの違いが、従来業務からの脱却の“壁”として立ちはだかっている。どうすればこの状況を乗り越えることができるのか。ガートナーでプラクティス バイス プレジデントを務めるデイヴィッドコイル氏が、そのための方策と心構えを説く。
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ITインフラ・運用担当は「デジタルビジネス」の成長エンジンを目指せ
(Photo/Getty Images)

デジタル化がI&O部門の業務に変革を迫る

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ガートナー
プラクティス バイス プレジデント
デイヴィッド・コイル氏
 企業のデジタル変革への関心は高まり続ける一方だ。ガートナーの調査によると、ビジネスの優先課題の上位5項目に「デジタル」を挙げたCEOの割合は、2015年の5.5%から2019年には18.6%にまで急増した。また、2019~2020年の戦略投資先を尋ねた質問でも、「IT関連」(32%)がトップの「成長」(53%)に次いで多かった。

 これらを背景に、IT予算はこの5年間、グローバルで一貫して増加している。CIOも「ビジネス・インテリジェンス/データ・アナリティクス」や「クラウドサービス」など、デジタル変革のためのIT投資を、より強く意識するようになっている。

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デジタル変革のためのIT投資状況
(出典:ガートナー)

 ガートナーでプラクティス バイスプレジデントを務めるデイヴィッドコイル氏は、「こうした変化が、インフラストラクチャとオペレーション(I&O)部門に従来業務からの脱却を迫っている。すなわち、IT基盤の構築やサービスのデリバリーから、アプリケーションを中心に提供されるデジタル、ビジネス、ツールのサポートに活動を軸足を移すということだ」と強調する。

 I&O部門でのデジタル、ビジネス、ツール業務の割合は、現在の10%から2025年には80%にまで達すると見込んでいるという。

データの利用法の提案が新たなミッションに

 ただし、脱却の道のりは平坦ではなさそうだ。根底には、IT自体が相反する目的で用いられることに起因するジレンマがある。ITの活用方法は“攻め”と“守り”に大別される。そして、前者で重視されるのがビジネス支援のための「変化」であり、後者ではビジネス保護のための「安定」だ。

「I&O部門の業務内容の変化は、モード1からモード2へのシフトと言っていいが、両者は目的が正反対。当然、I&Oスタッフに求められる心構えやスキルは大きく異なる」(コイル氏)

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 では、I&O部門の業務は具体的にどう変わるのか。コイル氏によれば、最大の変化は「顧客中心に活動を行うようになる」ことだという。

 従来、I&O部門は社内ユーザーに対してITサービスを安定して提供する任を負い、顧客と接する機会はほとんどなかった。だが、攻めの施策で優先すべきは迅速な変化対応だ。「環境変化の多くが顧客の何らかの変化により生じる以上、開発であれサポートであれ、いずれの業務も顧客中心になるのが必然だ」と同氏は説明する。

 また、デジタルビジネスでは、技術革新の速さと多様さからすべての技術を自社で賄うことは極めて困難だ。加えて、データの入手から管理、活用までの重要性も従来より格段に高まる。これらを踏まえ、外部ベンダーを巻き込み、IoT(モノのインターネット)などで入手したデータを多角的に分析可能なアプリケーションを配備することも求められるという。

「データを入手/管理/活用するための基盤整備だけでなく、ビジネス部門に利用法をレコメンドするためのデータの“解釈”の仕事もI&O部門の主要なミッションになるはずだ」(コイル氏)

絶え間ない変化に対応するためのDevOps

 こうした業務の変化に対応できなければ、デジタル変革が加速する中にあって、I&O部門の存在意義が問われかねない。

 コイル氏が変化対応のために採用を推奨したのが、アジャイル開発手法である「DevOps」だ。その一番のメリットは開発をプロジェクトとして捉えていることにあるのだという。

「I&O部門は今後、技術革新による絶え間ない変化に対応し続けねばならない。しかし、未来が予測しにくい中、その実践は極めて困難だ。短期間に小規模な開発を繰り返すDevOpsであれば、プロジェクトの目的が定められている点で、I&O部門にとっても馴染みがあるだけ取り組みやすい」(コイル氏)

 コイル氏は、速さを最重視し、品質が二の次になることには当初、戸惑いもあるだろうかが開発に失敗したとしても、「次に挽回できる」と考えられば不安も和らぐはず、と説明した。

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DevSecOpsとは
(出典:ガートナー)

【次ページ】インフラ・運用担当が変えるべき「4つの要素」
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