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- 2018/12/15 掲載
半世紀ぶりの大阪万博決定、「負の遺産」は「夢の島」に変われるのか
会場予定の夢洲は広大な空き地が広がったまま
夢洲は東西2.5キロ、南北1.8キロ、広さが東京ドーム83個分に当たる390ヘクタール。万博会場は島の中央部や南部、カジノを含むIRは北部に整備される計画だが、埋め立て工事が完了しておらず、万博予定地周辺には巨大な水たまりが広がっている。
夢洲には舞洲を通ってJR桜島駅方面、咲洲にある大阪メトロのコスモスクエア駅に路線バスが運行しているが、出入りする人は埋め立て工事やコンテナターミナルの関係者が大半。広大な空き地の中に運転手向けのコンビニが1店あるだけだ。
コンビニで買い物していた運転手(51)は「万博が開催され、地下鉄が延伸されれば、人でにぎわうのだろうが、今はこのありさま。地盤沈下が続く大阪経済を象徴しているようだ」と苦笑いした。
開発計画が相次いで挫折し、負の遺産に
夢洲は舞洲とともに1970年代から埋め立て工事が始まった。ひと足早く1960年代から重化学工業用地として整備に入った咲洲と合わせ、大阪市の未来を切り開く湾岸開発と位置づけられたが、思い通りに事が運ばなかった。夢洲では1990年代にニュータウンの建設構想が持ち上がったものの、バブル経済の崩壊で立ち消えになる。負の遺産を解消するために大阪府と大阪市が打ち上げたのが、2008年の五輪誘致だった。再開発を前提に選手村を夢洲に建てる計画だったが、招致は北京の前に惨敗し、広大な土地の利用目的が定まらないまま放置されてきた。
舞洲も長く利用計画が定まらなかったほか、咲洲はWTCコスモタワー(現大阪府咲洲庁舎)、海事博物館のなにわの海の時空館(閉館)、アジア太平洋トレードセンターなど大阪市がばく大な予算をつぎ込んで巨大なハコモノを建設したが、いずれも赤字のお荷物施設となった。税金無駄遣いの悪しき象徴ともいえる場所が、夢洲など人工島3島だ。
大阪万博開催までのスケジュール
2018年12月にも | 国、地元自治体、経済界で新組織を設立 |
2019年 | 運営経費の補助などを定める特別措置法を制定 |
2020年 | 開催計画をBIEに提出 ドバイ万博に大阪万博パビリオンを出展 |
2021年5月までに | 詳細な開催計画を決定 |
2025年5月 | 開幕 |
こうした失敗の連続から、大阪市の大阪港埋立事業は2017年度末で約1,240億円の企業債残高を抱えている。2015年度から3年間は舞洲や咲洲の土地売却などから単年度収支が22~76億円の黒字になっているものの、その前の2014年度は単年度で約1,040億円の大幅な赤字を計上した。
こうした負の遺産の過去に終止符を打つために計画されたのが、万博とIRの誘致だ。松井一郎大阪府知事は11月末の記者会見で「府市連携で万博を成功させ、負の遺産解消に努めたい」との考えをあらためて示したが、金井教授は「万博やIRで一気にマイナスをプラスに転じようとする考えは、過去のハコモノ行政と本質的に同じ考え方だ」と警鐘を鳴らす。
【次ページ】財政に忍び寄る巨額支出の重いつけ
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