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  • 2018/11/19 掲載

インド首相が語る、「メイク・イン・インディア」が猛烈に拡大している理由

スズキ会長も注力

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首相就任後、「メイク・イン・インディア(インドでモノづくりを)」政策を掲げ、外国資本からの投資を誘致する経済改革を進めるナレンドラ・モディ氏。3回目の訪日となったこの10月には「日印デジタル・パートナーシップ」にも合意し、特にデジタル分野における「戦略的なパートナー」としてさらなる連携を深めている。「ノウハウと技術力を備えた日本企業とのパートナーシップをさらに強固にしたい」と述べるモディ首相が、今後の日印連携のカギを握る日本の経営者にメッセージを送った。
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「メイク・イン・インディア(インドでモノづくりを)」政策を掲げ、外国資本からの投資を積極的に誘致する経済改革を進めるインド首相のナレンドラ・モディ氏

日本企業には「レッドカーペットが用意されている」

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 モディ氏が首相に就任した2014年から、日本とインド両国は活発なビジネス交流を続けてきた。「インドでは、自動車製造から通信、インフラ整備、サービス業など幅広い分野で日本企業が活躍しており、2014年から2017年の3年間の進出数は200社以上にのぼる」とモディ氏は述べる。

 政策面では、2014年の首相就任後、日本を戦略的パートナーと位置づけ、連携を深めてきた。インフラ支援でも日本政府は大きな役割を果たしており、「インド西部の貨物専用線は間もなく完成予定で、1年半後には完全に稼働する状況だ」という。

 また、デリーとムンバイ結ぶ産業大動脈プロジェクトや、ムンバイとアマダバードを結ぶ高速鉄道プロジェクトでも日本とインドは連携している。

 モディ氏が政権を担ってから最も重要視しているのが「インドにおけるビジネスのしやすさ」だ。世界銀行が発表する、各国のビジネスのしやすさをランク付けする「ビジネス環境の現状」において、インドは2015年版で142位、2018年版では100位にランクインし、最新の2019年版では77位までランキングを上げた。

 こうした成果をもたらした点について、モディ氏は「意思決定のスピード化と法令、規則の改定」を挙げる。特徴的なのが、インドの36州(29の州と、7つの連邦直轄地域)に対してランキングシステムを導入したことだ。「これにより、外国資本から投資を誘導するため、州同士で健康的な競争が生まれた」とモディ氏は語る。

「我が国は投資が必要です。だからこそ、ビジネス分野で誠実な取り組みを続けています。投資が行われれば、失業者に雇用の機会が提供され、インフラも整備、改善され、農業や海上資産などに付加価値をもたらすことができるのです」(モディ氏)

 インド国民にとっての「生活のしやすさ」は、インドにおける「ビジネスのしやすさの延長線上にある」のだ。

 こうしたインドの「ビジネスのしやすさ」の整備は着実な成果を生んでいる。たとえば、外国直接投資の分野において改革を行った結果、インドにおける外国直接投資は、過去3年間で360億ドルから600億ドルにまで拡大している。

 世界経済フォーラムによって出版される年次報告書である「世界競争力報告」において、インドはこの2年間で31位ランクを上げている。現在、インドは最も成長している国家の一つに数えられるのだ。

「インドのソフトと日本のハード」が大きな成果を生む

 国内における改革を実行した結果、取引のペーパーベース化が進み、安定性と透明性が向上した。さらに、インド全土に統一されたGST(物品・サービス税)が導入された結果、物流網がさらに整備された。

 モディ首相が特に力を入れるのが零細・中小企業(Micro, Small and Medium Enterprises:MSME)だ。段階的に法人税を減少させ、これらのMSMEにメリットがあるような政策を行っている。

「ビジネス界が求めてきた政策の安定性、透明性は現在、インド政府のアイデンティティになっています」とモディ氏。

 そして、モディ政権は、インド商工省内に日本企業専門の投資相談窓口「ジャパン・プラス」を設置し、日本企業の誘致を積極的に呼びかけている。これは、インドを魅力ある製造拠点にするための「メイク・イン・インディア」政策と並行して行われているものだ。

「この4年間で、インドが製造・研究のグローバルハブになるよう取り組んでいます。特に、インドは労働力が安く、低コストで製造が可能になるため、こうしたメリットは、特に、日本のMSMEにとっても大きなチャンスとなるはずです」(モディ氏)

 そして、IT産業もインドの大きな力だ。モディ氏は「インドのソフトウェアと日本のハードウェアが一緒になれば大きな成果がもたらされる」と力説する。

「インドはAIやIoT、3次元プリンター、ロボティクスなどのテクノロジーを活用しながらインダストリー4.0に急速に向かっています。特に、電動モビリティにおける協力は、日印両国に多くのメリットをもたらすでしょう」(モディ氏)

 その他にも、インドではインフラ整備関連事業も今までにない規模で展開している。たとえば、インドでは現在、約100都市でスマートシティを建設する構想を掲げ、50の都市に地下鉄を敷設するプロジェクトを開始する構想を持っている。こうした構想の実現のために「常にインドの投資環境改善に取り組んでいる」とモディ氏は述べる。

「水道や電気などの基礎的なインフラの整備に加え、鉄道や高速道路網の整備、港湾や空港の近代化など、インフラ整備に注力し、さらに競争力のある経済を構築したいと考えています」(モディ氏)

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日本企業では、スズキがインドで累計生産2,000万台の4輪車を生産している

 最後に、「私は以前から民主主義のサポーターだ」とモディ氏は述べ、上述したインフラ整備以外にも、医療や農業分野で日印の協力関係を第三国に展開する可能性があると説明する。

 インド太平洋地域や南アジア、アフリカといった地域においても、日本とインドはパートナーとして、これらの国や地域の発展に貢献していくことができると信じる――。モディ氏はこのように述べ、日印両国のビジネスパートナーシップをさらに強固なものにするために、できるだけの支援を行うことを約束したいと講演を締めくくった。

【次ページ】製造業における「メイク・イン・インディア」政策の現状と今後
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