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- 2018/09/07 掲載
メタデータ管理とは何か? 「データのためのデータ」はどう活用すべきか
ガートナー マーク・ベイヤー氏が解説
なぜメタデータが重要視されているのか
「観察対象のデータが動物であればメタデータは森。同様に、森であれば地球、地球であれば太陽系という具合に捉えても構わない。つまり、メタデータとは対象であり世界でもある。また、メタデータには各世界での対象の経験も記録され、入れ子状にメタデータを辿ることで、対象の位置づけや歴史を把握することができる。これこそ、データのためのデータとよばれる所以である」(ベイヤー氏)
データの活用機運が盛り上がる中、メタデータ管理が注目を集めるのは必然だ。
メタデータの特性から、その管理を通じて、保管場所やアクセス履歴、アクセス元、変更内容、そこで新たに生まれたデータなど、多様なデータのプロフィールが丸裸となる。結果、データ活用で指摘されるさまざまな課題を抜本的に解消できるのである。
メタデータ管理はデータ管理/活用の出発点
今後、より多くの企業でメタデータ管理が広がることは確実だ。ガートナーも分散管理されたデータ・ソース上のデータ分析の広がりを背景に、メタデータ管理に対する投資額は2020年までに倍増すると予測する。見込めるメリットも多岐にわたる。
まず、データ品質が向上して、ビジネスの効率や価値を確実に高められる。また、データの重要性をさまざまな角度から判断でき、商品やビジネスプロセスなどの改善にも役立つ。データの追跡や監査を通じて、セキュリティやガバナンスの強化にも寄与する。
「メタデータ管理はデータ管理/活用の出発点。加えて、データアーキテクチャやデータ戦略など、取り組みによる成果物はデータ管理に大きく寄与するものばかりだ」(ベイヤー氏)
具体的なユースケースとしてベイヤー氏がまず挙げたのが「データ・ガバナンス」である。データガバナンスの徹底には、職責が異なるスタッフによる、膨大かつ個々に重要度が異なるデータ利用の厳格な管理が求められるが、情報の重要性やスタッフの職責は時間とともに変わるため、実践は極めて難度が高い。対して、メタデータを管理の中核に据えれば、それらの遷移を継続的かつ確実に参照可能な仕組みを実現できる。
メタデータの活用事例
次にベイヤー氏が挙げたユースケースが「リスクとコンプライアンス」だ。これに対応するには、「マッピングによるデータの特定」「関連する処理とリスクの把握」「管理の継続性」などが要件として挙げられるが、それらはまさにメタデータの得意とするところとなる。しかも、たとえデータ漏えいが発生したとしても、「メタデータ管理ができていれば、事前に十分な対策を講じていたことを立証することもでき、法制的なペナルティを免れられる可能もそれだけ高まる」(ベイヤー氏)。
「データ分析」でも有効だ。メタデータによる各データの利用頻度や過去の分析結果の把握を通じ、データセットの良し悪しや、使い方の向き不向きなどを容易に判断できるようになる。いわば、過去の分析経験の共有にも役立つのである。
「データ価値の把握」にも有益だ。データの重要性の高まりを受け、CDO(Chief Data Officer)という役職も新たに登場している。CDOの使命は組織としてのデータの保有/活用/リスクに関する最適な対応と極めて広範だが、全社的なデータの利用頻度に基づく価値測定などを通じ、施策の優先順位などの判断に活用を見込めるという。
これらのメタデータの活用例で共通するのは、いずれも同一の管理プロセスを経ることで成果を上げていることだ。
具体的には、最初にメタデータ自体の棚卸しを実施し、メタデータの種類や量を把握する。次にそれぞれの利用度合いから各メタデータの重要性を評価するとともに、メタデータの活用の可能性を分析する。その結果を新たな施策につなげることで、メタデータ活用による新たな価値が創出されるといった具合である。
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