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- 2018/11/06 掲載
準備で「8割」? “ビッグデータの末路”から日本を救うには
連載:中西 崇文のAI未来論
産業データの活用は「まだまだ」
アメリカ企業では69.4%、イギリス企業では64.5%、ドイツ企業では72.1%という結果が出ており、日本の「産業データ」活用状況はやや遅れていることがわかる。
さらに、「産業データ」について、「活用する予定がない」と答えた日本企業は22.9%と、アメリカ企業の10.5%、イギリス企業の11.5%、ドイツ企業の8.7%と比べて高かった。
このことから、日本では、まだまだデータ活用の重要性を広める必要があると思われる。日本のAI技術、活用が諸外国、特に中国、アメリカと比べて遅れているとさまざまな識者が論じている。実はこのようなデータ活用のモチベーションの低さが、日本のAI技術、活用の遅れを生み出しているのではないかとも考えられる。
データをうまく活用するために、(1)データを適切に扱うためのAI研究・開発が行われ、(2)その結果新たなAI技術が生まれていき、(3)生まれた技術がまた別の領域で使われて、(4)さらにAIやデータの活用、開発が進む、というサイクルがうまく回っていないと推察される。
今後はどんな領域でデータ活用が進むのか
今後想定されるデータ活用については、国によって大きく異なる。日本企業では、「商品企画」「製品・サービス設計」が今後想定されるデータ活用先として期待が高く、逆に「生産」や「流通・販売」は低い。この点について、日本では、「生産」「流通・販売」関連データの活用先がないのではなく、すでにデータが活用されてきたという認識の表れではないかと考えられる。
生産や流通、販売といった、データを「効率化のツール」として語られていた領域から、商品企画、製品・サービス設計といった「創造性を生かす現場」に期待が集まっているようだ。
アメリカ企業では「研究開発」や「商品企画」が特に高く、ドイツ企業では、「生産」「流通・販売」「アフターサービス」が特に高い。アメリカにおいても、効率化よりも創造性を生かす文脈でデータ活用を期待しているのであろう。
それに対し、ドイツ企業では「インダストリー4.0」の流れもあり、工場での生産管理、流通販売の最適化、商品のサービス化などの領域にデータ活用のポテンシャルを感じているのではないか。
日本では、データ活用の重要性が広まりきれていないが、将来については、創造力を手助けするような新たなデータ活用先を求めていることが見えてくる。
データ活用の話になると、「データが集まらない」「集めるコストがかかる」「データはあるが使えない」「データを使えるようにする方法が不明」という声を聞く。先に述べた通り、この課題はそのままAI活用の遅れに結びついてしまう。「どのように使えるデータを生み出すか」が鍵となるのだ。
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