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- 2018/09/06 掲載
売価が3倍に!新しい養鶏場はIoTデータでどう価値を創出したのか?
連載:中西 崇文のAI未来論
実世界をデータによって俯瞰するためのIoT
これらのセンサーデバイスによって測定し続けた結果が、データとして生成、蓄積され、ビッグデータとなる。センサーデバイスがインターネットでつながることで、さまざまなデータが偏在する環境をIoTと呼んでいる。このようにして生成、集約されたデータを人工知能、機械学習などを使って計算し、実世界の問題解決や、アプリケーションに活用することができる。
現状では、人工知能や機械学習が注目されがちであるが、実世界の問題を解くためには、IoTによって新たなデータを生成し、活用するためのエコシステムを作ることが必須だ。
IoTによりビッグデータが生成できる環境を構築して初めて、機械学習を検討する段階になるとも言える。
IoT、とりわけセンサーデバイスをどこに設置するか、これはアプリケーション、およびコストとの兼ね合いになってくる。近年、センサーデバイスの微小化、廉価化、高機能化が実現されているとはいえ、より実世界の状況を克明に取得するためには、大量のセンサーデバイスが必要な場合が生じる。従来と比べ非常に小さくなったとはいえ、「データの取得や蓄積」には当然コストが発生する。
人工知能や機械学習をアプリケーションに導入して生産性を上げるには、IoTを取り入れるためのコスト、つまり実世界のデータを取得し蓄積するコストをどこに転嫁してビジネスをするかが鍵となる。
コストを賄うために必要な「データで最適化」
データサイエンスという言葉が一般的になりつつある中で、なかなかデータを基点とした製品やサービスが生まれない産業や領域がある。この理由の一つが、「データの取得、蓄積コスト」であることは間違いない。ボトルネックになっているデータ取得、蓄積のコストの回収する方法として、大きく2つ考えられるだろう。
1つは、データを用いた分析によって効率化され、浮いたコストの一部をデータ取得のコストとして積み上げる方法である。
これはデータ分析による最適化が非常に強力に働く場合だ。有名なのはゼネラル・エレクトリック(GE)が、1秒間に1,000個のデータを吐き出す100個のセンサーを持つタービンを開発した事例だろう。
これにより、データを用いて、異常検知の早期発見、機械学習による予測も可能となり、コストが20%削減できたのである。
この事例では、1秒間に1,000個のデータを吐き出すような高機能なセンサーを100個設置したり、それらの膨大なデータを蓄積、分析、統合したりという環境構築の費用以上に、コスト削減のインパクトが大きいわけだ。
その最適化によりデータ取得、蓄積、分析、統合のコストを凌駕する。データを収集したほうが、最終的に得になるのだから、やらない理由がない。
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