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  • 2018/04/09 掲載

AR・VRの6業種 活用事例まとめ、アマゾンやトヨタは何に取り組んでいるのか

連載:シリコンバレー発 米テックレポート

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 日本では「AR」「VR」というと、先進的なイメージや、あるいはPokémon GOのようなエンターテインメント領域に限定されるもののように感じるかもしれない。しかし、アメリカなど海外の企業では、すでにxRを活用したサービスの実用化が進められている。本稿では、業界ごとに整理したxR活用事例と最新トレンドをまとめる。
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続々と実用化が進む中で、特に近年は製造業でAR・VR活用の動きが盛んだ
(© Gorodenkoff – Fotolia)


小売・ファッション

 小売やファッションは早くからxR活用の注目を集めた分野のひとつで、IDCは2021年には商業VRは小売で40億ドル、商業ARは128億ドルのサービス市場になると予測している。

 アマゾンは独自のR&D拠点を持ち、特許出願の取り組みも熱心に行っており、ARに関する特許出願も多く行っている。そのうちの2つを紹介する。

 まず紹介するのは、試着を想定した「ARミラー」である。

 最近のAmazonはAmazonエコーやセキュリティカメラなど、スマートホーム領域に熱心だが、ARミラーも家に入り込むプロダクトだ。

 これはミラーの上部にあるカメラがユーザーの身体を追跡し、ミラーの後ろのスクリーンに画像を照らす複数のプロジェクタで動作する。たとえば背景を自分の部屋ではなく仮想ビーチに変更し、それに似合う服をバーチャルに着せ替えすることができる。ARミラーに関して、同社は複数の特許を出願しており、レコメンドや決済などECとの親和性も高い。

 すでに同社は「Echo Look」という、自分のファッションを写真やミニ動画で記録し、AIがトレンドなどを加味してファッションを助言するカメラも開発しているが、ARミラーはそれの進化版といえるだろう。



 アマゾンのもうひとつの取り組みは、モバイルショッピングへのAR活用だ。

 同社の特許によれば、スマートフォンやタブレットなどのデバイスカメラを通じて、人間の手首などのオブジェクトを認識し、あたかも時計などのアイテムを実際に身に着けているかのように見せられる技術を開発している。時計にかぎらずさまざまなアクセサリーにも対応できそうだ。



 このように、アマゾンにおいても、独自にARの自社利用について裏でさまざまな検討が進められていることがわかる。

 小売大手のウォルマートは、ARとVRの両方に取り組んでいて、オープンにアイデアを募集するコンテストなども開いている。

 ARに関しては、買い物客がARグラスを装着して買い物する場合のデジタルアシスタントに関する特許を出願している。このデジタルアシスタントは、買い物客が音声などのアクションに反応し、チャットボットやヘルプセンターを通じて商品の詳細情報やレコメンド商品を表示する。レコメンドした商品が購入につながったかどうか情報を取得し、企業はマーケティングに活用できる。

 また、VRにおいては、全米200カ所、15万人の従業員のトレーニングを効率化するため、VRを活用して遠隔地でもリアルな体験を共有できるようにしているとのこと。

 クレジットカード会社のVISAは、以前からARに興味を持っている大企業のひとつだ。

 VISAヨーロッパは小売経験を変えるために、自社のイノベーションハブのパートナー、Blipparと提携。ファッションショーで、デザイナーの衣服をARカメラ(スマホやタブレット)で見ると、商品を認識して即購入できるアプリのパイロット版を公開。

 また、ARカメラ越しに情報を読み取って立体情報や、商品情報を表示させ、カメラ目線を合わせるだけで決済ができるアプリ開発も取り組む。

 ほかには、中国のEC大手アリババやアメリカの小売大手のebayが、それぞれ異なるアプローチでXRショッピングを始めている。

 アリババがVRでリアル店舗をコントローラーと視線を使って歩き回ることができるのに対して、ebayのアプローチはデジタルワールドに飛び込んで商品をカテゴリから検索しながら欲しいものを見つけていくインターフェースだ。それぞれ決済方法もVRの中で完結できる。

不動産・インテリア

 不動産の建築や販売に関してのAR・VR活用はすでにさまざまな試みが行われている。

 建築計画、マーケティング資料、その他の情報を3Dモデルにオーバーレイして、従来よりもリアルな情報を提供することができる。この技術によって、建築家やインテリアデザイナーは、顧客とよりリアルで、インタラクティブに、満足度の高いものを生み出すことができるようになる。

 Augmentやmatterportなどのスタートアップは、3Dモデリングツールや、生成したデータのやり取りをクラウドからアクセスできるサービスを提供する。

 スウェーデン発の組み立て家具販売のIKEAでは、ARを使って、自分の部屋にIKEA製品の試し置きができるカタログ、スマホアプリを提供して話題を呼んだが、さらに一歩踏み込んだアプリがまた作られている。購入した後の組み立て方法を、ARで支援する機能だ。

 購入した家具のバーコードを読み取ることで商品名が表示され、近くの床を認識すると、そこからインストラクションが表示され、組み立て手順のアニメーションが隣で映し出される。ユーザーは、その動きを横で見ながら作業できるというものだ。DIYのプロダクト全般で、こういったサービスは差別化になりそうだ。

ソーシャル

 写真共有SNSのSnapchatはAR技術を活用し、「World Lenses」をリリース。現実空間に拡大文字やアニメーションを付加して動画を撮影し、投稿できるようにしたことで新しいSNS体験を提供した。



 フェイスブックも新機能のARCameraをスタートして追随する形となり、今やARはSNSの新たなスタンダードのひとつとなりつつある。

 ほかにもSnapchatはデュアルカメラを搭載したARサングラスの実験的プロジェクト「Spectacles」にも着手していた。これは、ユーザーの目線で動画を撮影し、スマホと連携することでSNSへの動画投稿を促したものだ。だが、スペックの問題や、スマホとのデータ連係が失敗するなど利便性の問題も多かったという。「Spectacles」自体はARグラスとは言いにくいが、同社は次世代バージョンのARグラス関連特許出願も行っており、今後も挑戦は続いていくものと見られる。

製造・自動車

 IDCの調査で、最もxR活用が期待されているのが製造業界だ。同社の2021年市場予測では、プロセス製造分野(食品、化学製品、薬品など)でAR市場は131億ドルでVR市場は50億ドル、ディスクリート製造分野(自動車、機械、電子機器など)でAR市場は138億ドルになると報じられている。

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