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- 2010/01/12 掲載
AR(拡張現実)とは何か?スマートフォン普及とともに注目集める新体験【2分間Q&A(63)】
2014年にはスマートフォンの割合が37%に急成長
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拡張現実とは端的に言うと、カメラを使って映し出される映像上にさまざまな電子情報を重ね合わせて、現実の映像を「拡張」する技術のことだ。たとえば、ある店舗がAR上でしか見えない商品用の「ボタン」を設置したとしよう。その場所にAR機器を持ったユーザーが訪れて、カメラで店舗を映すと、ディスプレイ上でのみ商品のボタンが表示される。さらにそのボタンを押すと、AR機器でしか扱わないキャンペーン情報、または実際の商品の詳細な解説が表示される、といった形で用いられる。
ではこのARは技術的にどのように実現しているのだろうか。まず、ARでは、「カメラの映像」と「重ね合わせる現実のオブジェクト」を一致させるため、「場所」を示す何らかの情報が必要になる。これを実現する方法は2つある。1つはGPSの測位情報や電子コンパスによる方位情報を利用するパススルー方式(図1)、もう1つは「ARマーカー」と呼ばれる特定のパターンをカメラで写して画像認識(あるいは、カメラの映像の特異点を検出してマーカーを使わずに画像認識する方法)を用いる方法だ(図2)。
ARは古くから研究され、さまざまなARアプリケーションが生み出されてきた。しかし、ARはアプリケーションだけでは動作しない。Webカメラやディスプレイ、GPS装置や電子コンパス(地磁気センサ)など、デバイスとワイヤレスネットワークなどの実際の機器が必要になる。また、拡張現実に存在する情報にアクセスしたり、操作するための入力デバイスも必要だ。
ARが注目され始めた当初は、メガネにカメラが付いたヘッドマウント型ディスプレイなどの利用も想定されていたが、あまりにも仰々しく、カジュアルに使えるとは言い難かった。ノートPCとWebカメラによるARシステムもあるが、Webカメラをセットしてアプリケーションを起動する、といった手間がかかり、屋外などで手軽に使えるわけではない。
このような状況は、スマートフォンの普及で一変した。スマートフォンは、高速な3G通信機能やGPS、電子コンパス、タッチパネル型ディスプレイなど、ARを実用的に使うための機能がすべて揃っている。特に、スマートフォンブームの牽引役となったiPhoneやAndroidは、多くの開発者から有力なARプラットフォームとして認められ、さまざまなスマートフォン向けのARアプリケーションが続々と開発されている。
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セカイカメラが世界中から大きな注目を集めたのは、その実用性もさることながら、ARを使ったソーシャル機能という、斬新なアイデアが盛り込まれていることだ。エアタグには、店舗や公共機関などの「オーサライズドタグ」や「ランドマークタグ」がセットされているが、それ以外に、ユーザーが思いのままに好きな場所にタグを付けることが可能だ。
入力するタグの内容は何でもかまわない。壁の落書きのようにテキストを入力したり、美味しいラーメン店の前に「ここは美味しい」というタグを付けてもいい。このようなタグは他のユーザーからもブラウズできる。このように、見知らぬ者同士がエアタグを通じて情報を共有できるのだ。
2009年12月には、ユーザーが投稿したタグにコメントを入れたり、そのユーザーをフォローしてTwitterのようにタイムラインに表示する、といった、コミュニケーション機能「セカイライフ」が装備され、ソーシャルサービスの大幅な強化が図られている。このようにAR-SNSというまったく新しいジャンルを開拓し、ユーザーの支持を集めている。
もちろん、スマートフォン向けのARはセカイカメラだけではない。オランダのSPRXMobile社が手がける「Layer」も、有力なパススルー型のARシステムだ(図4)。Layerはセカイカメラのような単独のサービスとして提供されるのではなく、APIの公開による世界的なARプラットフォームとして提供されている。
日本語版のコンテンツ提供はシステム・ケイが手がけており、ホテルや駅、銀行などの検索や、リクルートが提供するホットペッパー上の飲食店、美容室、チラシ情報などの各種データに基づく検索や、Googleのローカル検索に対応したキーワード検索、「みんなのLayer」という、他のユーザーが登録したタグの閲覧や投稿ができるサービスを備えている。
そのほか、Googleマップと連動して、グルメ、コンビニ、ATMなどの地域情報の場所をタグで表示する「ご近所ナビ」や(図5)、東京の地下鉄駅の方向や周辺のコンビニやファストフード店などの情報を表示する「東京の地下鉄」など、さまざまなアプリケーションが公開されている。もはや、一部のiPhone、AndroidユーザーにとってARは目新しい技術ではなく、実用的なツールとなっている。
一方、携帯電話の世界でもARが現実のものとなりつつある。KDDIが提供する「実空間透視ケータイ」は、携帯電話のカメラの映像とGPS、地磁気センサーの情報を元にさまざまなコンテンツを提供するプラットフォームだ。
現在はベータ版による期間限定(2009年12月まで)の試行サービスの段階であったが、自分が撮った写真をマッピングできる「地球アルバム」や観光地情報や宿泊施設の情報などをブラウズできる「トラベルビュアー」などが検証された。
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