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  • 2017/05/10 掲載

なぜインターネット広告の効果は「見えづらく」なったのか

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インターネットを活用したマーケティングは日々、変化している。そのため、マーケターは常に頭を悩ませていることだろう。AdRollの日本法人代表の香村 竜一郎 氏は、インターネット広告の効果が見えづらくなっている現状を分析し、「マーケターはKPIを『クリック数』『ユーザー数』』だけで見てはいけない」と指摘する。

フリーランスライター 大橋博之

フリーランスライター 大橋博之

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AdRoll
日本法人代表
香村 竜一郎 氏

インターネット広告の効果が見えづらくなっている

 AdRoll(アドロール)は、2007年に米国カリフォルニア州サンフランシスコで創業された、パフォーマンス広告テクノロジー企業だ。

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アドロールは2007年に創業したアドテク企業だ

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 同社の日本法人では、2016年9月から11月までの期間、日本でインターネット広告出稿業務に関わるマーケティング担当者(マーケター)200名及びインターネット広告ユーザー1,000名を対象とした「マーケターとユーザーのインターネット広告への意識」に関する調査を実施した。

 調査の結果、日本のマーケターの多くがインターネット広告に求めているのは「効果」だとしながらも、61.7%のマーケターがその「効果」が見えづらくなっていると回答したという。

 マーケターのいう「効果」とは、「ユーザーのリーチ数」と「クリック数」。その2つをKPIとしてリテンション施策を実施しているところがほとんどだ。香村氏は「このクリック数を効果指針にしていることが、実は効果が見えづらくなっている根本の原因」だという。

 調査によると、インターネット広告を見た後のユーザーの行動は、「広告をクリックして、クリックした先のホームページですぐに購入申し込みをした」が41.0%。

 しかし、「広告をクリックして、クリックした先のホームページを見て、後日再度ホームページから購入申し込みをした」は62.7%。「広告をクリックせず、その後検索サイトなどからホームページを訪問して購入申し込みをした」は18.3%いた(複数回答)。

「そもそも、ユーザーに広告をクリックしますか?と質問したところ、クリックするユーザーは20%です。このことをベースにして考えると、インターネット広告のKPIの設定でラストクリックのコンバージョンやCPA(広告費用÷コンバージョン数)を指針にしている広告主さん、代理店さんがほとんどですが、ラストクリックにフォーカスして広告を最適化させるということは、クリックしてくれる20%のユーザーだけに向き合った施策を実施して継続している、ということです」(香村氏)

 広告はもともとマスに向けて行われるものだった。そうすることで、認知を拡大し、検討すらしていないユーザーに対してリーチし、実際の購入に結びつけることができる。なのに、ラストクリックのコンバージョンやCPAだけにフォーカスするということは、残り80%のユーザーに対してはアクションを起こさせないことになる。

「リテンションで一度、広告の最適化をかけると、20%の少ないユーザーたちに同じ広告がグルグル回るだけになるのです」(香村氏)

ラストクリックから脱却せよ

 それではビジネスは拡大しない。ラストクリックだけを見て広告を最適化させるべきではない、「ラストクリックからの脱却」が必要と香村氏はいう。

「そうでないと、『おかしいな、CPAはいいのに、売上は全然、上がっていないよ』ということになります。それが、61.7%のマーケターが広告の効果が見えづらくなっていると回答している要因に直結しているのです」(香村氏)

 香村氏は「売上を上げようと思うと、客数を増やすか、客単価を上げるしかありません」と語る。

 また、客数をアップさせるには、新規を開拓するか、休眠している客を復活させることとなる。しかし、新規客や休眠客は、そもそもwebサイトに訪れてはいない。

「新規客には、リターゲティングという、1度、webサイトを訪問してくれたユーザーに対して広告を出す手法は通用しません。だから、『リターゲティングで新規客を増やそう』と言っている人たちは間違っています」(香村氏)

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インターネット広告の効果をきちんと見るために、ラストクリック依存から脱却せよ

 マーケターの大半はインターネット広告に継続的な新規客の確保を期待しているが、それは難しい。さらに、新規客を獲得したい、休眠客を復活させたいと思ったとき、CPAという指標を持っていても意味はない。では、いかにして「ラストクリックからの脱却」をすればいいのだろうか。

【次ページ】求められるのは「フルファネルマーケティング」

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