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- 2017/01/25 掲載
“現代の魔法使い”落合陽一氏が語る、コンピューターがもたらす「来るべき未来」の姿
3次元空間に直接物質的に振る舞うものを作る
世界最大級のエレクトロニクス製造サプライチェーン総合展示会「SEMICON Japan 2016」が2016年12月14日~16日の3日間に渡り開催された。初日のオープニングキーノートでは、筑波大学助教 デジタルネイチャー研究室主宰 落合 陽一氏が登壇。「現代の魔法使い」と呼ばれている落合氏が自身の研究とコンピューターがもたらす「来るべき未来」の姿について語った。落合氏は筑波大学助教の傍ら、Pixie Dust Technologies, Inc.というIT企業を経営する二足の草鞋を履いた人物だが、自らの職業を「メディアアーティスト」と言っている。
彼自身はあくまで芸術家で、美術館にインスタレーション作品をおさめているというのだ。
講演では、同氏が携わった数々の作品が披露された。
レンズと時計、光源が円環状に設置され、12個の時計が巨大なひとつの時計を形成している。光源が順次発光することで、時計の示す時間がアニメーションとして壁面に投影される。
来場者が壁と投影装置の間を横切ると、その人の影が時計の影と組み合わされて壁に映る仕掛けもある。
映像装置と言うと、フィルム、あるいはメモリーから映像を呼び出して投影させるものが多い中で、落合氏の作品はオーバーヘッドプロジェクター(OHP)の原理を使い、実在する物質から直接映像を作ることによって、実在しない奇妙な時計が壁面に映し出されるわけだ。
落合氏によると、空間自体に面白い演出効果を作ることをテーマとしているという。
フェムトセカンドレーザーを使用して空気中にプラズマを作り、空中に映像化するものだ。
プラズマを妖精のように植物のまわりで飛ばしたり、形を作らせて我々とインタラクションさせたりできる。同レーザーは低エネルギーなので、短時間であれば植物の体を貫いても焼けないし指で触れることもできる。
たとえば、空中に浮かんだチェックボックスに指で触れて、チェックを入れられるし、映像に触れた感覚も得られる。
「3次元空間に直接物質的に振る舞うものを作ることをメディアアート活動のひとつとしていて、それをホログラムで実現するのが僕のひとつの理系的なモチベーションです」(落合氏)
【次ページ】 映像と物質の垣根を越えたい
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