- 会員限定
- 2016/11/10 掲載
ホンダ、ドゥサンはなぜ製造改革するのか?ダッソーが「価値ある体験」の重要性を解説
#3DEXPERIENCE
製造業も「モノ」より「価値ある体験」を重視する
近年、ダッソー・システムズは「モノ」だけを売るのではなく、「モノ」を利用することで得られる「エクスペリエンス(体験)」を提供する重要性を訴えている。その体験には、製品の使い勝手や、デザイン、「利用する楽しさ」といったブランド体験、そして購入に至るまでの企業との対話も包含されている。ユーザーが求めているのは「製品の所有」よりも「製品が提供する価値を体験すること」であるという。
こうした体験を提供する「エクスペリエンス・エコノミー」を実現するために製造業は、その生産プロセスを抜本的に変革する必要がある。そのためには、従来の製造プロセスである「基本計画」「設計・試作」「調達」「生産」「出荷」の各工程でのサイロ化から脱却し、迅速かつ俊敏なアジャイル化による開発プロセス/マニファクチャリングに移行し、ユーザーのニーズに対応しなければならない。
さらに、エンジニアリングや製造現場といった異なる部門間でデータを共有/連携させ、個々のオペレーションを完全に同期させることも不可欠である。これにより、製造現場のダウンタイム削減や、状況の変化に応じた柔軟な対応が可能になるからだ。
しかし、こうしたアジャイル化による開発プロセス/マニファクチャリングを具現化している企業は、世界でも少数である。11月3日の基調講演に登壇したダッソー・システムズで、デジタル・マニュファクチャリングの仮想工程設計ツールであるDELMIAブランド担当CEOを務めるギョーム・ヴァンドルー(Guillaume Vendroux)氏は次のように説明する。
「世界でも多様化する消費者のニーズに迅速に対応できる企業は少ない。今後の製造業は、デジタル化への移行を促進し、単一のプラットフォームで情報(データ)を管理/活用することが不可欠だ。それを実現するのが『3Dエクスペリエンス・プラットフォーム』である」
3Dエクスペリエンス・プラットフォームとは、3Dモデリングや、製品開発、解析、シミュレーションといった製造業のビジネスに必要なソリューションを提供する統合プラットフォーム(基盤)である。基本、クラウドベースでの提供だが、オンプレミス環境にも対応している。
ヴァンドルー氏は、3Dエクスペリエンス・プラットフォームによるデータ管理/活用の重要性を力説する。IoT(Internet of Things)やセンサーから収集した膨大なデータをリアルタイムで分析してインテリジェンス(情報)に昇華させ、デジタル・プラットフォーム上でシミュレーションに活かす。適切な環境で分析し、必要な知見を得ることで、アジャイル開発/マニファクチャリングに必要な「モジュール化」や「分析予測」も可能になるというわけだ。
「3Dエクスペリエンス・プラットフォーム」で「計画」から「出荷のその後」までを把握する
基調講演では、オペレーション・プランニング・ソフトウェアであるQuintiqブランドのCEOを務めるロブ・ヴァン・エグモンド(Rob VAN EGMOND)氏とエンタープライズ検索/分析機能を提供するEXALEADブランドのCEOであるモルガン ツィマーマン(Morgan ZIMMERMANN)氏を交え、3Dエクスペリエンス・プラットフォームによるバーチャル空間でのインダストリー・バリュー・チェーンの展開デモが披露した。デモの内容はこうだ。グローバルで複数の生産拠点を持つ製造企業の特定拠点(ブラジル)でトラブルがあり、部品の納期遅延が発生する。こうした有事でも、3Dエクスペリエンス・プラットフォームによって、全体の生産スケジュールを遅延させることなく製造するというものである。
さらに、ブラジルの生産拠点では、どのような問題が発生しているのか、「どの生産ラインで」「どの設備に」「どのような不具合が発生しているのか」を、ドリルダウンして特定する。
以前であれば、こうした情報はスプレッドシート上に表示され、ソリューションごとに分断されていた。しかし、3Dエクスペリエンス・プラットフォームであれば、データをシームレスに共有し、最適なソリューションでデータを活用することができる。また、ブラジルの生産拠点で発生したトラブルを分析することで、他拠点のトラブル(故障)予兆を察知し、事前に対策を講じるといったこともできる。なお、3Dエクスペリエンス・プラットフォームは、外部データを取り込んで市場の需要予測をすることも可能だという。
「デジタル・ツイン」による3Dサイクルモデルのシミュレーション
この講演では、3Dエクスペリエンス・プラットフォームのユーザー企業として、韓国のドゥサン(斗山)インフラコア、日本の本田技研工業(以下、ホンダ)などが、それぞれの取り組みを紹介した。韓国の総合重工業企業であるドゥサンは、2020年までに世界の産業機械のトップ3になる目標を掲げている。そのために同社が実施しているのは、「デジタル・ツイン」による3Dサイクルモデルのシミュレーションだ。
デジタル・ツインとは、実際の製品や製造ラインから収集したデータをリアルタイム分析し、物理世界の製品やシステムで発生していることをデジタル上で再現する手法を指す。これにより、物理世界で問題が発生した場合には、リアルタイムでデジタルに反映されるため、すぐに問題の特定、解消ができるというわけだ。
【次ページ】ドゥサン、ホンダ「製造改革」の取り組み
関連コンテンツ
関連コンテンツ
PR
PR
PR
今すぐビジネス+IT会員にご登録ください。
すべて無料!今日から使える、仕事に役立つ情報満載!
-
ここでしか見られない
2万本超のオリジナル記事・動画・資料が見放題!
-
完全無料
登録料・月額料なし、完全無料で使い放題!
-
トレンドを聞いて学ぶ
年間1000本超の厳選セミナーに参加し放題!
-
興味関心のみ厳選
トピック(タグ)をフォローして自動収集!
投稿したコメントを
削除しますか?
あなたの投稿コメント編集
通報
報告が完了しました
必要な会員情報が不足しています。
必要な会員情報をすべてご登録いただくまでは、以下のサービスがご利用いただけません。
-
記事閲覧数の制限なし
-
[お気に入り]ボタンでの記事取り置き
-
タグフォロー
-
おすすめコンテンツの表示
詳細情報を入力して
会員限定機能を使いこなしましょう!
「」さんのブロックを解除しますか?
ブロックを解除するとお互いにフォローすることができるようになります。
ブロック
さんはあなたをフォローしたりあなたのコメントにいいねできなくなります。また、さんからの通知は表示されなくなります。
さんをブロックしますか?
ブロック
ブロックが完了しました
ブロック解除
ブロック解除が完了しました