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リオ五輪で112年ぶりに競技種目として復活したゴルフ。趣味としてだけでなく、仕事でのコミュニケーションツールとしてゴルフをプレーする人も多いことだろう。しかし、多くのビジネスパーソンからは「必死で練習をしても上手くならない」や「最新のクラブを買っても飛ばない」など、スコアに伸び悩む声もある。この悩ましい状況を打開する練習方法はあるのだろうか? 経営コンサルタントでありながら、会議室でゴルフを教えるという独自の理論で人気を博している河村操(かわむら みさお)さんに上達のポイントを聞いた。
コンサルが語るゴルフ上達法は「サーフ&ターフ」
河村さんは、経営コンサルタントの傍ら、ゴルフの研究を重ねハンデを3にまで縮めた実績を持つ。ゴルフをビジネス戦略の観点から解析し、コースマネジメント論やメンタル論など独自のメソッドを展開している人物だ。
「趣味のゴルフを何とか上達させようと、レッスンプロにコーチを受けたり、いろんな本を読んだりしましたが思うように上手くなりませんでした」(河村さん)
そんな河村さんが考えた上達法は、ゴルフ以外のスポーツからヒントを得ることだった。サーフィンやスキー、卓球などのスポーツをやっていた河村さんは、サーフィンやスキーは下半身の安定、卓球は手首の使い方がゴルフのそれと酷似しており、それが機能的な役割を果たすことに気づいた。
「そこでプレー中の動画を撮影し、フォームの改良を行うことにしました。まさにサーフ&ターフですね」(河村さん)
日本にはあまりなじみのないサーフ&ターフの習慣。アメリカ西海岸が発祥の「Surf&Turf=波と芝」は、多くのサーフポイントが点在するカリフォルニアの周辺に良質なゴルフコースがあることから「いい波が来ないからゴルフでもやるか!」という行動パターンから生まれた。
ゴルフとサーフィンの両方をプレーする選手には、2013年のマスターズを制したプロゴルファーのアダム・スコット、ASPワールドチャンピオンに11回も輝いたプロサーファーのケリー・スレーターなどがおり、サーフ&ターフの効果は実証済みだ。
サーファーでゴルファーの河村さんが分析したところ、ゴルフのスイングには大きく分けて、回転型と体重移動型の二種類があるのだという。回転型は陸上競技の円盤投げのように背骨を軸として上半身を回転させ、体重移動型はやり投げのように、体重を右から左(もしくは左から右)にダイナミックに移動してスイングする。
回転型で有名なプレーヤーはアーニー・エルスや森田理香子など。体重移動型で有名なのはマキロイ、イ・ボミ、松山英樹、全盛期のタイガー・ウッズなどだ。
「この二つをごちゃまぜにしたレッスンをしてしまうとフォームが安定せず、いくら練習をしても上手くなりません。これはプロでも同じこと。まず、自分はどちらのタイプなのかを知り、それぞれに応じたレッスンをする必要があります」と語る河村さん。では、具体的にどのようにすれば上達するのだろうか?
「コース設計」に注目すれば90を切れる
河村さんのゴルフレッスンは、首都圏や大阪の会議室で行われている。会議室が故にクラブは持ち込めない。つまり、すべてが座学なのだ。土日の開講日には、ポロシャツ姿のビジネスマンが熱心に耳を傾ける。レッスンではスイングやフォームについてのレクチャーはあるのだが、注目すべきはコースマネジメント論である。これはスコアを縮めるためには不可欠な項目なのだという。
「多くのゴルファーは、コース設計に注目をしていません。これではゴルフ場の思うツボです。ゴルフコースにはゴルファーを楽しませるため(?)に、いろんな仕掛けを用意しています。そうすることでショットを惑わせ、余計に打たせる。こうすることでゴルファーは『今度こそいいスコアを出すぞ!』となり、リピーターを増やすことができる。ゴルフ場のビジネス戦略に乗っからないことこそが重要なポイントなのです」(河村さん)
例えば、ゴルファーの錯覚を利用した仕掛け。わざとティーグラウンドを前方に傾けることで、前足下がりの状況だと気づかれずに作り出す。結果、ゴルファーはスライスを連発し続け、「スイングがおかしいのでは?」と思いこみ、コースアウトするころには練習で培ったフォームを壊されてしまう。
「その罠にはまらないのがタイガー・ウッズですね。彼はどんなコースでも錯覚に惑わされることなく、フォームを崩すことはありません」(河村さん)
このように解説する河村さんは、「多くのゴルファーは飛ばすことに注力をしますが、それよりコースの仕掛け読み解くことが重要。ビジネスもゴルフも戦略が成功の鍵となるのです」と話す。
講座参加者の多くは河村さんのブログやメルマガの読者だ。「経営コンサルタントが教える90を切るゴルフ(ブログタイトル)」で河村さんは、「90を切るまでは、ドライバーを封印するという規制をいれるだけで、とたんにゴルフについて考えるようになる。そして、ゴルフは考えるスポーツだということを深く知ることになる。
だまされたと思って、ドライバーを封印しよう。きっと色々見えてくると思うから」と語りかけ、多くの読者に「考えるゴルフ」を推奨し、ビジネスマンの支持を集めている。反論はあるかもしれないが、参加者のスコアが好転しているのを鑑みれば一見の価値はあるかもしれない。
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