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米ガートナーは、企業が情報資産を有効活用することで競争優位性と効率を高めようとしのぎを削っている状況が、最高データ責任者 (CDO: Chief Data Officer) の急増につながるとの見解を発表した。2019年末までに大手企業の90%がCDOの役職を設けると、ガートナーは予測した。
ガートナーのリサーチ バイス プレジデントのマリオ・ファリア氏は「ビジネス・リーダーは、デジタル・ビジネスの非常に大きな可能性を理解し始めており、情報資産への投資とアナリティクスの利用から、より大きな利益を引き出す必要があると考えています。このような背景から、産業規模でのデータ収集と活用に伴う多くの機会と責任を担う役員としてCDOを創設することは、理にかなった流れであるといえるでしょう」とコメント。
ただし、CDOは、数多くの課題に直面することになり、2019年末時点で成功を収めることができるのは半数にとどまるという。ガートナーはその課題の1つとして、ほとんどの企業にとってCDOが新しい役職であるということを挙げる。新任のCDOの大部分は、実際に職務をこなしながら学習し、経験を積んでいくことになり、CDOは「チームの活動を測定可能なビジネスの成果と結び付けることができる、適切な評価基準を備えた情報戦略を策定する」という難しい仕事を遂行しなければならない。
前出のファリア氏は「膨大な量のデータセットがあらゆる場所に氾濫している中、重要な仕事の1つとなるのは、どの情報がビジネス価値や効率性の向上、リスク管理能力の強化などに役立つのかを見極めること」と指摘する。
また、ビジネス・ユーザーからの期待は高い一方、情報管理に関する知識が限られており、計画を成功へ導く上で欠かせない予算とコミットメントが容易に得られないということもありえるという。
ファリア氏は、「これは、CDOという役割の社内政治的な側面を物語っています。CDOが成功するためには、社内における信頼を築き、良好な関係を確立しなければなりません」と述べている。
既に多くのCDOが、情報資産の管理と統制に関する変化に対して社内からの強い抵抗を経験しており、特にIT部門からの抵抗が顕著なようだ。成功を収めているCDOは、CIOと緊密に連携して変化を主導し、このような抵抗を克服しているという。
そのうえでガートナーは、新任のCDOが一般的に直面しがちな課題を克服する上で役立つ6つの推奨事項を提示した。
- 自社のビジネス戦略と主たる価値規範に基づき、エンタプライズ・レベルの情報管理戦略を策定する。
- 社内の幅広い関係者、特にCIOとの間において、不断の努力をもって信頼関係を構築する。
- データと情報がビジネスの成功全般に果たす役割について、上級役員および同僚への周知を徹底する。
- 情報の統制とデータの収益化の進捗度を測る評価基準となる基本ラインを確立する。
- 数値化が可能な情報評価基準とビジネスの主要パフォーマンス指標 (KPI) とを結び付け、成功の度合いを数値として目に見える形で提示する。
- 公式な情報資産の評価基準を採用し、社内全体で共有する。
さらにファリア氏は「採用する側、される側にかかわらず、CDOの職務には対人折衝能力が欠かせないということを念頭に置く必要があります。CDOの成功は、変化を主導する能力とともに、ビジネス・リーダーおよび主要部門の意識を高め、支援を取り付け、必要なリソースを獲得する能力に左右されます」と語っている。
その他の詳細は、リサーチノート「Predicts 2016: Information Strategy」にその詳細が記載されている。
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