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近年のインドでは、デジタルマーケティングがブランド価値を高める手段として普及している。世界第二位の人口を抱えるインドなら、オンラインマーケティングから受ける恩恵も大きい。インドでのデジタルマーケティング最前線を見てみよう。
執筆:エクシール・エフ・エー・コンサルティング ガガン・パラシャー
(訳:エクシール・エフ・エー・コンサルティング 大塚賢二)
デジタルマーケティング市場の伸び
デジタルマーケティングには、低コスト、即時のレスポンス、柔軟な対応が可能、信頼性のある品質、高い効果といった利点がある。
世界のデジタルマーケティング市場規模は約680億ドル、そのうち携帯電話やタブレットの広告市場は前年比倍増の60億ドル、近い将来には78億ドルまで成長すると言われており(eMarketerより)、当面、勢いは衰えそうにない。
デジタルマーケティングで見られる大きな変化は以下のようなものである。
(1)特に若い世代で、コストをかけずにFacebookやTwitter、一般ブログなどのウェブを活用して情報を得る動きが見られる。これらのソーシャルメディアで最新のニュースを、自身も適宜に書き込みをしながら手に入れている。
(2)一般顧客の匿名性が重視されてきているが、より多くの企業が、デジタルマーケティングで収集した顧客属性を活用して効率的に顧客の絞り込みを行うようになっている。
50%に迫る驚異の成長、インドのデジタルマーケティング
インドではデジタルマーケティングは、まだまだ成長の余地がある。この数年で、スタートアップ企業が急増しているが、そのような企業は資金に余裕がないため、デジタルマーケティング需要がウナギ上りというわけだ。
デジタルマーケティングは、これから有望な市場となるか? デジタルマーケティングでキャリアを積んでいくのは吉と出るか? こうした問いには迷わず「そうだ」と答えたい。デジタルマーケティングは、インドのスタートアップ企業に広い舞台を提供し、キャリアを伸ばす大志を抱く者の前には、絶好の機会があふれているのだ。TVやラジオに取って代わるとまでは言えないものの、マーケティングに携わる者にとって、さらに選択肢が増え、これまでとは違ったアプローチを可能にする。それがデジタルマーケティングだ。
世界最大の広告代理店グループWPP傘下のグループエムの調査では、インド全体のデジタルマーケティング支出に関し、今年1年で47.5%と過去最大の伸びを見込んでいる。同調査のデータをさらに追ってみよう。インドの紙メディアなどを含むマーケティング支出全体の規模は、昨年が前年比14.2%の伸びで4,975億ルピー(≒8,080億円)、今年が前年比15.5%の伸びで5,748億ルピー(≒9,300億円)である。そのうちデジタルマーケティング支出の占める割合は、昨年は9.9%で、今年は12.7%となっており、比率のうえでもデジタルマーケティングの成長ぶりがうかがえる。ちなみに他メディアの割合は、紙媒体は昨年が32.4%、今年が29.7%と減少する一方、TV媒体は同じく46.3%から47.1%と引き続き中心的ではある。
インドは、主要政策として
「スタートアップ・インディア」(起業家支援)や
「スタンドアップ・インディア」(中小/女性事業者支援)を展開している。これらの政策の広がりにより、商品販売やサービス提供を促進するメディアに必要な条件が、この数か月で明らかになってきたところもある。起業家の間では、もっとも費用対効果の高いメディアとしてデジタルマーケティングが利用されているのだ。
デジタルマーケティングが伸びているもう1つの理由は、若年増人口の多さである。インド人口の65%以上を占める若年層の半数以上が、インターネットを使いこなせるのだ。
【次ページ】今後も有望なデジタルマーケティングの未来
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