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  • 2016/02/02 掲載

「民泊」規制緩和の最新動向、米欧7か国の規制との違いとは

Airbnb登場で混乱?

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Airbnb(エアビーアンドビー)の世界的なブーム、そして訪日外国人観光客の増加で全国に広がっている「民泊」。住民とのトラブル解消や民泊の推進を目指し、2015年末からルール作りを進めている厚生労働省と観光庁は、旅館業法で定めた民宿など簡易宿所として扱うルール案を有識者会議に示した。民泊を「旅館業法」に基づく規制対象として、早ければ4月にも解禁し、そのうえで法改正を含めた抜本的なルール整備を引き続き進める見通しだ。地方での民泊に力を入れる観光業者や特区指定を目指す自治体も出ており、民泊の推進が地方創生にも大きな影響を与えそうだ。
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今やホテルさながらの「民泊」もある
※写真はイメージ


外国人観光客急増で宿泊施設が悲鳴

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 厚労省によると、他人を有料で宿泊させるには、旅館業法に基づく都道府県知事、保健所を設置する市区長の許可が必要になる。しかし、インターネット上の民泊サイトには、国内で2万件以上の物件情報が掲載されている。国や自治体は実態を把握しきれていないが、その多くが無許可とみられる。

 厚労省が昨年夏、都道府県と保険所を設置する市区合わせて142自治体を調査したところ、各自治体が2014年度に計131件の無許可民泊を見つけ、改善指導していたことが分かった。ただし、指導に従い、許可を得たケースは20%に満たない。

 民泊が広がってきた背景にあるのは、訪日外国人観光客の急増だ。観光庁によると、2015年の訪日外国人観光客数は11月末現在の推計値で1,796万人。2014年1年間の1,341万人を1カ月残して上回り、2003年の521万人に比べると3倍以上に増えている。

 その結果、外国人観光客の人気が高い東京、大阪の宿泊施設は連日、フル回転し、東京都大田区など客室稼働率が90%を超えた地域も少なくない。2020年の東京オリンピックを控え、さらに外国人観光客の増加が予想されることから、民泊に注目が集まっているわけだ。

 国家戦略特区に指定されている大阪府や東京都大田区は、特区の規制緩和を活用して民泊を認める条例を制定した。安倍晋三首相も民泊拡大に向けた規制緩和の必要性を強調している。

相次ぐ近隣住民とのトラブル

 そんな中、民泊する外国人と近隣住民のトラブルが各地で問題になっている。東京都内のマンションが民泊に使われていたケースでは、ごみ出しのルールが守らないと住民の苦情が保健所に寄せられた。

 京都市では夜間、宿泊客が大声で騒ぎ、京都府警が旅行代理店から事情聴取する騒ぎがあったほか、東京都と山形県の男性が京都市内のマンションに無許可で中国人観光客を宿泊させていたとして京都府警に検挙されている。

 民泊と分かれば自治体が指導できるが、近隣住民の苦情で出向いても部屋の提供者と連絡がつかず、民泊かどうかを確認できない例もある。急増する民泊にルール作りが追いついていないことが、トラブルを招いてきたわけだ。

 特に法的にグレーゾーンにあるとされる米国の民泊仲介サイト「Airbnb」の登場が混乱を広げている。登録物件数は全国で1万件以上とされ、大都市圏だけでなく、地方にも広がりつつある。

外国では既にビジネスとして定着

 外国では既に民泊がビジネスとして定着している。中でもAirbnbは全世界に200万人ものホストが登録しているという。2008年にスタートした新進企業だが、リオデジャネイロ五輪の公式サプライヤーになるまで急成長したことで話題になった。

 ただ、こうした民泊が世界の常識として完全に合法化されたわけではない。厚労省などによると、たとえばドイツのベルリンでは許可なしに住居を目的外使用することを認めていない。イタリアのローマは自治体への届出と承認を求めている。

海外の民泊規制
国・地域宿泊業営業時の規制民泊規制(貸主)民泊規制(仲介業者)
英国・ロンドン建物の使用目的変更に許可が必要建物の転用許可が必要。90日以内で住居の一時利用は許可不要なし
フランス・パリ建築の許認可が必要自治体への届出、利用形態変更の許可が必要。年間8カ月以上居住の場合は対象外仲介業者が滞在税を納付代行
スペイン・バルセロナ観光登録が必要。衛生基準、部屋数、防火基準などに規制自治体の許可、利用者へのサービス保障、利用者の身分証登録なし
ドイツ・ハンブルグ建築検査当局の許可が必要。非常口、防火設備などに規定所有者が年間4カ月以上居住の場合、貸出が可能許可を得ない広告の掲載不可
オランダ・アムステルダム消火器、警報器、扉の幅、障害者のアクセスなどに規定利用者の滞在が2カ月まで、同時宿泊者4人までなら許可不要旅行者税の自動支払いに関する契約が必要
オーストラリア・クイーンズランド州事業許可が必要。建物の構造、防火要件などに規定パーティー利用を州法で制限なし
米国・ニューヨーク市市への登録が必要。構造、防火などに規定。立地制限あり3戸以上が入居する共同住宅で入居者不在のままの貸出は違法なし
(出典:厚生労働省「民泊サービス」のあり方に関する検討会提出資料)

 米国では6州が合法化しているものの、ニューヨークは不在ホストの禁止、ナッシュビルは騒音、食事提供場所の規制、サンノゼはホストが貸出中に市外へ出る場合、連絡先登録を必要とするなど、一定の規制をかけている。

【次ページ】強引な推進は既存の宿泊業に打撃
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