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- 2015/10/26 掲載
ユニリーバは「新興国戦略」の中核になぜ「持続可能性」を据えたのか
グローバル企業は中国とのニューディールを構築する時期にきている
コトラー氏は、今や貿易決済額の総額で人民元は円を上回り、過去30年の業績を見ても、中国が非常に強力なグローバルな経済大国であるとの見方を示した。中国経済は、輸出総額が出荷金額ベースで前年比+2.1%と増える一方、輸入額は減少している。
「これは、建機や医療機器などの分野で中国国内の代替生産が進んだからだ。中国の製造業の品質、テクノロジーは発展し、輸入に頼らない状況を示している。一方、債務総額は対GDP比で282%だ。ちなみに、日本は約350%、アメリカは約331.7%。つまり、中国の債務総額は、マネージ可能な額といえる」
そして、中国の対外投資額は年間で1,000億ドルを超え、6,000社以上、156の国と地域に投資している。これにより、中国は今、世界第3位の対外投資国となっている。また、上海、福建省、広東省、天津の国境沿いの4つの国境沿いに展開する自由貿易試験区では、さまざまな優遇政策のもと、さらなる成長と自由化の試みが続けられている。
「こうした経済試験区が作られる背景には2つの課題がある。1つは、輸出主導に向けた設備投資の課題だ。中国は、国内だけでなく海外にもインフラを作り、労働者を輸出していこうとしていること。もう1つは、政情、債務の課題だ。官僚の汚職撲滅キャンペーンが行われている中国では、経済成長が鈍化しており、海外からの新たな投資を促進するためのインセンティブを用意する必要がある」
経済成長の停滞などの諸課題はあるにせよ、先進国の企業にとって引き続き、中国は主要な担い手、ビジネスパートナーであるとコトラー氏は語る。
「富もあり、製造業のサプライチェーンも魅力的で、依然として労働力のコストが安い。そして、教育水準向上、サービス産業の成長の伸びしろ、テクノロジーの進化など、経済政策にスピードと一貫性がある。従って、外資系企業は、中国国内外と戦略的アライアンスを提携するのが最善の道だ」
今後は、アフリカや東南アジア、中南米、東欧などで中国企業の進出がさらに拡大していく。一方で、しかし、中国に対しては各国の政治的な敵対意識が強いのも事実だ。そこで、マーケティング担当者の役割が重要性を増していく。
「我々は、中国への恐怖心、対抗心を乗り越えなければならない。マーケターは、中国の現実を直視するような最新情報を経営トップに提供し、説得していく役割を果たすことができる。多国籍企業やグローバルなビジネスコミュニティは、中国なしには存続していくことは不可能だ。我々は、中国と折り合いをつけて、地勢戦略的、経済的観点から、中国とのニューディールを模索すべき時期にきている」
「持続可能な生活」を戦略の中核に据えたユニリーバの取り組み
【次ページ】感動や心のつながりを重視する「WOWマーケティング」
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