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  • 2015/06/18 掲載

マーケットエンタープライズに買い殺到、知られざる成長市場「ネット型リユース」

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中古品の買取・販売を行う「リユース」のビジネスは市場規模が約1.5兆円あり、特に店舗を持たずネットに特化する「ネット型」は急成長している。6月17日に新規上場した「マーケットエンタープライズ」は、買いが殺到して値が付かなかった。消費者の意識の変化で追い風が吹くリユースとECの利便性が結びつき、買取査定から在庫管理、販売、出荷までITシステムが一貫サポートするネット型は収益性が高く、大きく成長できる可能性を秘めている。
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「リユース」を大きく変えたインターネット

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 6月17日、東証マザーズにマーケットエンタープライズが新規上場した。その日は初値がつかず、公開価格1,500円の2.3倍の3,450円の買い気配で終了。投資家から大きな期待を集めて、上々のデビューになった。

 2006年に創業したマーケットエンタープライズの事業は「リユース(Reuse)」だ。企業のビジョンには「More Reuse! ~もっとリユースを身近に!~」を掲げ、販売店舗を持たずインターネットに特化した事業展開を行っている。ブランド品、ホビー用品、家電、衣料など幅広い商品の買取、販売を手がける。

 リユースは日本語では「再利用」と訳されるが、不要品を発生させないリユースと「リデュース(Reduce/廃棄物の発生抑制)、「リサイクル(Recycle/再資源化)」を合わせた「3R」は持続可能な循環型社会のキーワードで、環境ビジネスの一角をなす。

 たとえば中古の自転車の場合、自転車のまま譲渡すればリユース、解体して金属やプラスチックやタイヤのゴムを再資源化すればリサイクルで、どちらも廃棄物の減量につながりリデュースに寄与する。

 「リユース」は、時代劇に登場する「古道具屋」でも家財道具を買い取って売っていたように、大昔から存在する商売。しかし、自動車(中古車)や住宅(中古住宅)などは近代的なビジネスとして早くから査定や流通、品質保証などのしくみが確立したが、それ以外の物品は消費者に新品志向が強く、「中古」はどちらかといえば日陰の存在だった。

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スクリーン別 オークション/フリマサービス 利用者数(千人)TOP5、2014年6月
(出典:ニールセン)

 それを大きく変えたのがインターネットで、今では個人と個人の間に買取、販売を行うリユース業者が介在する「C2B2C」だけでなく、個人と個人が中古品を直接売買する「C2C」も花盛りだ。「ヤフオク!」「楽天オークション」のようなオークションサイトは、現在は「C2B2C」業者にとっても重要な販売チャネルである。

 スマホのフリマアプリ「メルカリ」や「LINE MALL」も伸びている。若い女性も“フリーマーケット気分”で気軽に古着などを出品している。物理的な限界があるリアル店舗やフリマ会場と違い、全国からアクセスがあって、売れやすい。

 ニールセンの2014年の調査によれば、オークション/フリマ利用者が1年で倍増、約2000万人に成長したという。さらに、同2月の時点でスマートフォンからの利用者がPCを上回っていた。

産業化、システム化が進むリユースビジネス

 個人間の「C2C」の盛り上がりと足並みを揃え、「C2B2C」のリユースビジネスも大きく成長している。

 業界紙「リサイクル通信」が出す『中古ビジネスデータブック2015』によれば、2013年の国内のリユース市場の規模は1兆4,916億円で、前年比9.7%増だった。2009年以降4年連続でプラス成長し、今後も年率4~5%の成長を続け2025年の市場規模は2兆円に達する見込み。特にブランド品のリユース市場は年率18.5%の高成長分野だという。

 ブックオフ、ハードオフ、ゲオ、まんだらけ、コメ兵、バイク王、買取王国、トレジャー・ファクトリーなどの「店舗型」業者もさることながら、シュッピン、ネットオフ(リネットジャパングループ)など「ネット型」の業者の成長も著しい。

 ネット型はリユースとEC(電子商取引)が結びついた業態で、新規上場したマーケットエンタープライズも、総合窓口サイト「高く売れるドットコム」をはじめ26の買取専門サイトを運営し、もっぱらネット上で事業を展開している。同社は「C2B2C」専業として、買取・仕入からネット上の販売に至るまで、査定、在庫管理、受注管理、配送まで一貫した「フルフィルメント・サービス」の体制を整えている。

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マーケットエンタープライズのビジネスモデル
(出典:マーケットエンタープライズ提供資料)


 買取は着払いの宅配便や出張買取のほか、直接持ち込みができるリアル窓口もある「リユースセンター」を全国6ヵ所に設置。また、「コンタクトセンター」では買取を希望する顧客に対し、ネットや電話で物品の型番や特徴、状態などを聞いて、買取価格をその場で提示できる「事前査定」のシステム、ノウハウを確立している。月間買取依頼数は約2万6000件(今年3月実績)にのぼる。

 一方、販売のほうは「ヤフオク!」「楽天」「イーベイ」「アマゾン」などの有名マーケットプレイスに「安く買えるドットコム」を出店し、マルチチャネルで売りさばく。中古品販売ではとかく軽く見られがちだった「マーケティング」を重視し、商品写真のきれいな見せ方や説明文の工夫、適正価格の設定、保証サービスなどに神経をつかっている。月間販売数は約1万4000件(今年3月実績)で、在庫回転率は14.2回転(昨年6月実績)を記録したことがあるという。

 中古品の買取・販売は警察から「古物商許可証」を取得すれば誰でも参入できるが、昔の古道具屋には必ず「目が利くおやじ」がいて、知識と経験が必要な査定のスキル、ノウハウはエキスパートの技量に依存する部分が大きかった。

 それを従業員なら誰でもできるようにすることが、マーケットエンタープライズに限らずリユースビジネスの産業化、システム化の核心部分。その査定ノウハウの標準化、マニュアル化ではITシステムが大きく寄与している。それがなければ、無店舗のネット型の業容拡大はとても望めないだろう。それに、ECに共通する管理システムが組み合わさっている。

【次ページ】店舗型の停滞を尻目に成長が続くネット型
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