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  • 2014/10/09 掲載

経済産業省 石井 芳明氏が語る日本再興戦略 「ベンチャー加速に大企業を巻き込む」

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アベノミクス第1の矢として金融緩和、第2の矢として財政出動が放たれ、その後、第3の矢として成長戦略が打ち出された。2013年6月に日本再興戦略が発表され、今年6月にはその改訂版が出されたが、その中で柱となっている政策が、“新陳代謝とベンチャーの加速”だ。日本のスタートアップ支援策について、Tech in Asia主催「Startup Asia Tokyo 2014」で登壇した経済産業省 経済産業政策局 新規産業室 新規事業調整官の石井 芳明氏が語った。

日本再興戦略 改訂版で強調されたベンチャー支援の中身とは?

photo
経済産業省
経済産業政策局 新規産業室
新規事業調整官
石井 芳明氏
 石井氏は通商産業省(現経済産業省)に入省したのち、中小企業・ベンチャー企業政策をはじめ、産業技術政策や地域振興政策等に従事してきた。また2012年からは、経済産業政策局新規産業室新規事業調整官を務めるなど、昨今注目されている官民協働のスタートアップ支援におけるキーパーソンといえよう。

 同氏は冒頭、“新陳代謝とベンチャーの加速”を政策の柱として据えた日本再興戦略 改訂版に触れ、「ベンチャー企業を応援しようという動きが出てきたのは今までになかったこと。日本政府として、新しい取り組み」だと切り出した。

「改訂版の中で掲げた成果目標は、開業率が廃業率を上回る状況にし、現状5%の開業率を米国や英国レベルの10%にすること。つまりは開業率の倍増で、10社に1社が新しい企業だという社会を作っていこうということです」

 また改訂版では、起業や創業の支援だけに留まらず、大企業からのスピンオフやM&Aなどを含め、ベンチャーが活躍するための制度や人材、あるいは資金面からの総合的な政策を打っていくことが謳われているという。

「これらの施策は、ベンチャー有識者会議ということで、WiL CEOの伊佐山 元氏やMOVIDA JAPAN 代表取締役の孫 泰蔵氏、あるいはディー・エヌ・エー 取締役ファウンダーの南場 智子氏やグロービス経営大学院 学長の堀 義人氏など、精力的にベンチャー支援活動を行っている専門家の意見を直接大臣が聞きながら作りました」(石井氏)

大企業を巻き込み、支援環境を整備し、起業家教育を充実させる

 日本政府が具体的に取り組んでいく政策として、石井氏が提示したのは「『ベンチャー創造協議会』による大企業の巻き込み」「「政府調達での参入の促進等支援環境の整備」「国民意識の改革と起業家教育の充実」の3つだ。

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 まず1つめの『ベンチャー創造協議会』による大企業の巻き込みについて、石井氏は「やや逆説的になるが、ベンチャーを盛り上げようとすれば、大企業が変わらなければならないのが現状です」と指摘した。

 多くの大企業はイノベーションを起こすことに対してジレンマを抱えているという。新しいことをやろうとしても、市場規模が小さいとか、リスクが大きいとか、あるいはカニバライゼーションを起こすといったように主力事業との関係や過去の成功体験で意思決定をしてしまうのだ。

「こうした現状を変えていくことが必要です。そのためにベンチャーと大企業との出会いの場を増やします。あるいはベンチャーと大企業が積極的にM&Aを行う。そういう促進策を講じていきたいと思います」(石井氏)

 また石井氏は、大企業の中に眠っている資源や技術、ビジネスモデルをもっと外に出し、大企業発ベンチャーを作っていくという観点からも、大企業とベンチャーの出会いの場、連携の場を作り、さらに大企業同士でも意見交換できる場を作りたいと意欲的だ。

 2つめの政府調達での参入の促進等支援環境の整備については、官公需法を見直し、創業間もない企業の政府調達の促進を図っていく。

「“先ず隗(かい)より始めよ”という言葉があるように、何か新しい取り組みを始めようと思った時には身近なところから着手していくということ。ベンチャーにとって、実は政府も大事な顧客の1つであることは間違いないのです」

【次ページ】ベンチャーを盛り上げるために、ベンチャーを称える社会を作る
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