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- 2014/07/08 掲載
MySQL、Supercell、Linuxなどを創出する“フィンランド流”スタートアップの育て方
SLUSH(ぬかるみ)から誕生するスタートアップ企業
このSLUSHとは、毎年10月~11月頃に開催されるイベントで、スタートアップ起業の経営者や起業を考えている学生らが集うもの。第1回目の開催は2007年。同氏はSLUSH設立の動機を、「ある種の危機感」だったと語る。
「2007年、学生600人を対象に『起業したいか』を訪ねところ、『したい』と回答したのは3人だけだった。当時のフィンランドには、起業を支援する仕組みも土壌もなく、学生は起業することに対して消極的だった。この現状を打開するために私が考えたのは、起業家と学生たちの出会いの場を設けること。地元(ヘルシンキ)の起業家らと集い、学生らを支援する方法を模索した」という。
ヴェスタバッカ氏がこだわったのは、SLUSHを起業が活発な米国シリコンバレーの雰囲気と同じようにするのではなく、“フィンランドらしい”イベントにすること。「11月のフィンランドは寒く、道も“SLUSH(ぬかるむ)”状態。しかし、それでこそオリジナリティがあると考え、コンディションの悪い晩秋の開催とした」という。
こうしたイベントは、政府や行政がトップダウンで開催しても継続性がない。大切なのは、起業家とそれを目指す人々が自らの手で“場”を作り出すことだ。「スタートアップ起業の、スタートアップ起業による、スタートアップ起業のためのイベント。それがSLUSHだ」と、ヴェスタバッカ氏は力説する。
こうした努力が功を奏し、今やSLUSHは世界中から人が集う巨大なイベントになった。2013年には7000人超が参加し、その中にはSkype創業者であるニクラス・ゼンストローム(Niklas Zennstrom)氏や、ディー・エヌ・エー創業者の南場智子氏なども名を連ねた。「世界的な起業家ネットワークの“ハブ”のような存在」(ヴェスタバッカ氏)までに成長したのである。
【次ページ】SLUSHで語られた「起業の失敗談」
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