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- 2011/02/01 掲載
【近藤正高氏インタビュー】最適な組み合わせが問題を解決する?――新幹線に見るビジネスのヒント(2/2)
海外に新幹線は羽ばたけるのか!?
――新幹線の海外輸出については報道も多いですね。今後どういった動きがあるとお考えでしょうか。近藤氏■アメリカやブラジルなどでのセールスでは、入札まで政治的な駆け引きが続くのではないでしょうか。政府が日本から新幹線の導入を決めたベトナムでも、予算面での懸念などから国会で否決されたりと、まだ予断を許さない状況です。
そもそも新幹線の技術は台湾に輸出された経験があるとはいえ、あくまでフランスやドイツの技術とあわせての採用でした。システム一式がほかの国に輸出されたことはまだないわけで、もし入札で選ばれたとして、そこからどのように現地にシステムを定着させていくのかとても興味深いです。
――かつてと比べると日本の技術力は多くの国に追い上げられ、自信を喪失しているかのようにも思えます。当時の最先端技術の結晶であり、高度経済成長のシンボルでもある新幹線から日本企業などが学べる点はあるでしょうか?
近藤氏■新幹線は、世界一のスピードを誇る列車としてデビューして、当時、飛行機や自動車などに押されて斜陽と言われていた鉄道を復権させました。しかし、それはすべて結果としてついてきたにすぎないんですよ。東海道新幹線でいえば、東海道本線の輸送量がパンク状態にあったのを解決するために、既存の技術を最適な形で組み合わせたら、たまたまそれが世界一の鉄道になったというだけであって。
この事実は、何か困難にぶちあたったとき、手元にあるもの――それは技術にかぎらず、人材も含めて――だけでも、組み合わせ方次第ではうまく解決できるんだ、といったことを示唆しているのではないでしょうか。
――最後に、現在興味を持たれているテーマやこれから取り組みたい分野などがあればお教えいただけますか?
近藤氏■都市郊外の鉄道としての私鉄、都市間鉄道としての新幹線ときたら、今度は都市の鉄道として地下鉄あたりをテーマに書いてみたいところですね。東京都の猪瀬直樹副知事が、都営地下鉄と東京メトロの一元化を主張していたり、何かとタイムリーですし。鉄道以外にも、例えばプロ野球の歴史を、企業史や地域史などの視点からとらえるといった企画などを考えています。とはいえ、ここでも阪神とか西武とか、やっぱり鉄道がかかわってくるわけですけど(笑)。
1976年愛知県生まれ。高校卒業後、サブカルチャー雑誌『Quick Japan』(太田出版)の編集アシスタントを経て、1997年よりフリーランスのライターとして活動。雑誌やウェブ媒体での執筆多数。著書に『私鉄探検』(ソフトバンク新書)、『新幹線と日本の半世紀』(交通新聞社新書)がある。
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