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- 2010/09/17 掲載
【守屋 淳の古典戦略ビジネス応用】第2回:ライバルの「漁夫の利」を防いで勝利するには? ~戦略書のバイブル『孫子』
時代の落とし穴にはまらないノウハウ
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現代でもジャンルを超えて活用される古典『孫子』
『孫子』は、今から約2500年前、中国の孫武という将軍が書いたといわれる兵法書です。日本でいえば、縄文時代と弥生時代の端境期という太古の昔に書かれているわけで、傍目には「そんな古典、現在でも本当に役に立つのか」とツッコミを入れたくなりますが、実は現代でも、綺羅星のごとき愛読者が並んでいます。まずは、軍事の世界。
《1990年の湾岸戦争で、米海軍陸戦隊の兵士は「孫子の兵法」を戦場へ持っていった。このことは当時、世界のメディアで大きな関心を集めた。戦争期間中に「ロサンゼルス・タイムズ」の記者がブッシュ元大統領をインタビューした時、元大統領の執務机には2冊の本があったという》続いてスポーツ界。
1冊は「カエサル伝」、もう1冊は「孫子の兵法」だった。
「人民網日本語版」2004年10月23日
《ポルトガルの宿舎では毎晩、孫子を読みふけるフェリペ監督の姿がある。/ブラジルを率いた02年日韓大会では全選手に手渡し、宿舎の壁にも印象深い言葉を張り出した》ご存知ない方向けに解説しますと、このフェリペ監督、2002年の日韓共催のサッカーワールドカップで優勝したブラジルの監督で、2006年にはポルトガルを率いてベスト4まで進出、この間、本選11連勝という金字塔を打ち立てています。
「日刊スポーツ」2006年7月1日
さらに、実業界では――
《(80年代に入退院を余儀なくされたとき)これもよい試練と考え、孫子を学んだが、そのとき得た一つの結論として、孫子の〝孫〟と自分の姓を掛け合わせ、「孫の二乗の兵法」と命名したビジネスの法則を創り上げた》これだけ並べただけでも、ジャンルを超えて活用され、大きな成果をあげていることは一目瞭然ですが、ではなぜ『孫子』は、これほどまでの力を持ち得たのか。筆者はその理由に、『孫子』の状況認識のシビアさを見ます。この観点、現代のわれわれにも大きく関わってくるものなのです。
「プレジデント」孫正義 1997年1月号
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