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- 2017/08/04 掲載
現地直撃!米コワーキング「Runway」はなぜテック系企業に愛されるのか
WeWork最大のライバルの戦い方とは
起業家特有の孤独感から生まれたコワーキングスペース「Runway」
実はこの「起業家特有の孤独感(loneliness)」への疑問こそが、今回紹介する「Runway」が誕生した理由の1つだ。Runwayは、投資家であり起業家でもあったアラン・ヤング氏が2013年に立ち上げたコワーキングスペースだ。ヤング氏は、自らがファンドを立ち上げた際、この孤独感にさいなまれ、1人でいることの大変さを味わった。
その解決策として打ち出したのが、起業家のための価値あるコミュニティの創出である。いわく「ガレージからはじまるスタートアップなんて、もう時代遅れ。大事なことはコミュニティの一部であること」。
そこで、有能な起業家たちが集まり、互いに学びあう空間を提供したいとシンプルに考えて作ったのが、Runwayなのだ。シリコンバレーでガレージから立ち上がり、成功したスタートアップには、グーグルやアップルなどがある。しかし、そんな「ガレージ神話」に対抗し、コミュニティやつながりからスタートアップの成長を刺激するというコンセプトは、2013年当時、起業家からとても歓迎された。
着目すべきは、設立当初から意図を持ってコミュニティ作りを行っていたことだ。スタートアップといわれる企業群の中でも、アッパーなテクノロジー系企業に絞り込み、強いコミュニティを作り上げることに注力した。孤独感をなくしてくれる頼りになるコミュニティの存在こそが最大の強みだとドハティ氏は語る。
その他、Runwayの特徴としては、会議室や電話ブース以外はクローズドな空間がなく、広々と使える約3千平方メートル(約180畳程度)ものオープンスペース、企業同士のコラボレーションを促進するコミュニケーションの機会や、投資家や雇用につながるコネクションの紹介などがある。
なお、「Runway」の名前にふさわしく、オフィススペースの真ん中を、まるでファッションショーモデルが今にも現れそうな細長い舞台のようにも見える道「ランウェイ」が通っている。
この1本道のランウェイを歩いていくと、右から左から、さまざまなスタートアップの企業オフィスが次々と現れる。仕切りがないため、閉鎖的な雰囲気がなく、立てかけてある“のぼり”が唯一の会社を区別する目印だ。全体を見渡すと、ある1つの大企業のさまざまな事業部といった雰囲気で、企業同士がしのぎを削っているというよりも、連携しあっているという雰囲気だ。
取材当日は、ある入居企業のメンバーの1人の誕生日だった。ハッピーバースデイの歌を同僚たちがアカペラで歌ったあと、ロウソクつきのケーキが登場。周囲の人たちも自然と集まってきて笑顔で祝福し、拍手が沸き起こる。カフェやガレージで孤独に黙々と作業するよりも温かみが感じられ、人と人とのゆるやかなつながりや雑談の中から新たなアイデアが生まれそうだ。まさにホームページに書いてある「テクノロジー・イノベーション・ハブ」という言葉がぴったりであった。
【次ページ】世界18か国から集まった多彩なテック系起業家達のコミュニティ
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