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いよいよWeWorkが日本に上陸することが明らかになり、コワーキングスペースにさらなる注目が集まっている。フレキシブルな契約形態、カフェにいるようなくつろぎをもたらすオープン空間、同じような志を持つ仲間との出会いとコミュニティを提供する、起業家にとって魅力的で刺激のある場所だ。今回は米国サンフランシスコでの現地取材をもとに、コワーキングスペースのタイプ別傾向やコワーキングスタイルの要素を企業で取り入れるためのヒントを紹介する。
コワーキングスペースのタイプ別傾向
全世界で7,000以上の運営会社が存在するコワーキングスペースビジネス。利用者にとって、月単位の契約はフレキシブルでありがたいが、運営会社にとってはリスクの高いビジネスとなる。
というのも、運営会社はオフィスビルと契約する際、通常5~10年のフロアリース契約を結ぶのに対し、コワーキングスペースの場合、利用者からの収入は使った分だけになるからだ。
ビルの家賃という高い固定費を支払い、競争が激化するなかで手厚いサービスと良質なオフィス用品類を提供し続けなければならないため、コストがかさむのである。
では、コワーキングスペース運営会社はどのように利益を出し続けているのだろうか? ここでは3つのタイプに分類しながら、傾向をみていく。
1.グローバル展開型
現在、米国においては
Regusと
WeWorkがコワーキングスペース市場の2強で、
JLLのレポートによるとRegusとWeWorkの2社で米国全体の8割のマーケットシェアを占めているという。
Regusは米国だけで1,021のロケーションを持ち、全世界120カ国で約3,000のコワーキングスペースを運営する最大手だ。一方のWeWorkは世界16カ国49都市、191ロケーションを運営する。
このようなグローバル展開型の一番の売りはメンバーシップを持つことで世界中どこでもコワーキングスペースが使えるところ。海外出張の多い起業家やグローバル展開したいスタートアップにとっては、特に利便性が高い。
2.大手企業による参入型
2つめのタイプが大手企業主導型だ。今では誰もがその名を知るグーグルだが、もちろん最初はスタートアップから成長した。それもあって同社は、2011年に同じような境遇にあるスタートアップの支援プロジェクトを立ち上げている。
その一つが「
Campus」と呼ばれるコワーキングスペースだ。現在、ロンドン、マドリッド、サンパウロ、ソウル、テルアビブ、ワルシャワの6都市で展開している(ベルリンでも近日オープン予定)。
また、現在125カ国でオンラインの起業家支援コミュニティ「
Google For Entrepreneurs」を運営しており、投資家と起業家をつなぐ月例イベント「
Startup Grind」や新しいテクノロジーを市場に出すためのファイナンス支援やサポートをする「
Techstars」など、幅広いサービスを提供している。
3.ニーズや属性特化型
グローバル展開しておらず、大手企業の看板もないニッチ型のコワーキングスペースでは、利用者のターゲットを特定し、より強いコミュニティを作ることで長期契約獲得を狙っている。
たとえば、ニューヨークにある「
The Wing」は女性限定のコワーキングスペースだ。19世紀後半から始まった女性クラブのコンセプトから生まれた同社は、コワーキングスペースというよりもソーシャルクラブ色が強い。
メンバーになるための申請プロセスがあり、
The Cutによると現在では3,000人以上がメンバーシップの空きを待っているというから驚きだ。この秋にはダウンタウンブルックリンとワシントンDCで新たなコワーキングスペースをオープン予定だ。
また、「健康」という属性特化型のコワーキングスペースもある。「
The Primary」というコワーキングスペース、「健康な人ほど仕事ができる」といわれるほどアメリカの大都市では健康と仕事の関係性が注目されていることに目をつけ、ビジネス展開を行っている。
ジュースバーやヘルシースナックを用意するだけでなく、ヨガや瞑想、有酸素運動のクラスを設けて、仕事と健康管理の両輪で働き手を支援している。
【次ページ】企業はここから何を学ぶべきか?どう活用すべきか
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