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- 2021/09/29 掲載
自動運転「ロボタクシー」主要7社の戦略を比較、初の“正式営業”に乗り出すのはどこ?
営業運行目前の中国ロボタクシー、その課題とは?
中国のロボタクシーが営業運行目前になっている。すでに数社が、スマホアプリから申し込みをすれば、誰でも乗車ができる全面開放型の試験営業を始めている。現在のところ、大きなトラブルの報告はなく、技術面だけを見れば、いつでも正式営業に入れる状態だ。世界からの注目が集まる2022年の北京冬季五輪前後が、正式営業を始める重要な時期になると見られている。ロボタクシーは、自動運転車両によるタクシーサービスだ。タクシー配車アプリと同じように、アプリまたは地図アプリから乗車依頼をすると、自分がいる場所に自動運転車がやってきて、目的地まで自動運転で移動する。乗車賃はクラウド決済される近未来的なサービスだ。
一方で、正式営業にはまだまだハードルがいくつもある。それは技術面ではなく事業面の理由だ。有り体にいえば「事業として儲かるのか」という話だ。各社ともここに苦労をしており、戦略がそれぞれに異なってきている。
試験営業までは各社とも技術開発を中心に進んできたが、それが成熟をするのに伴ってビジネスモデルの確立が求められるようになっている。ロボタクシーにはどんな課題があり、各社はどのように乗り越えようとしているのだろうか。
ロボタクシーサービスの基本の6ステップ
ロボタクシーサービスの開発は、各社とも次のようなステップで進めている。
- ステップ1:閉鎖区域による試験走行
- ステップ2:開放区域(公道)による試験走行
- ステップ3:希望する乗客(モニター)を乗せた試験営業
- ステップ4:誰でも乗れる全面開放試験営業
- ステップ5:常態運行による試験営業(無料)
- ステップ6:営業運行(有料)
ステップ1の閉鎖区域の試験走行は、各都市の政府が用意した試験コースでの走行だ。北京市の場合、2019年5月に北京市南郊外に亦庄基地(イージュアン)をオープンさせた。自動運転車専用のテストコースで、面積は650ムー(約43ヘクタール)で東京ドーム10個分程度になる。一般道だけでなく、高速道路を模したコースも用意され、さらに人工降雨、人工霧を発生させる設備も整っている。北京市だけでなく、各都市とも郊外にこのような試験コースを開設し、自動運転企業を誘致しようと競争している。
ステップ2の開放区域は、市政府が定める公道で、一般車両と混ざって走行することになる。北京市では、このような道路開放が2021年8月現在で227道路、合計760kmに達している。
ただし、開放道路であっても自由に試験走行ができるわけではない。2017年12月、北京市交通委員会は「北京市自動運転車両試験を促進するための指導意見」「北京市自動車両道路試験管理実施細則」の2つの文書を公開して、公道走行試験を行うための基準を定めている。北京市は、自動運転に積極的な百度(バイドゥ)がある都市で、このような基準をいち早く作った。
公道試験を行うには、自動運転車専用のナンバーを取得する必要がある。面白いのは、自動運転車両に対しても、人間の運転免許試験とほぼ同じ課題を課していることだ。多くの人が苦手としているクランク走行や縦列駐車などもある。自動運転AIがこの試験に合格し、人間とほぼ同等の運転能力を持っていると認められるとナンバーが交付されるが、有効期間は30日で、更新をするには専門委員会の安全性認証が必要となる。
また、免許歴が3年以上で、飲酒運転などの処罰歴がない運転手を安全監視員として乗車させることも義務付けられている。安全監視員は状況を注視し、危険だと判断した場合は手動で安全停止をするか、回避操作をしなければならない。
事故が起きた場合は、自動運転中であっても、この安全監視員が全責任を負う。また、補償額が500万元(約8,500万円)以上の対人対物保険に加入することも義務付けられている。百度を始めとして、ニーオ、美団(メイトワン)、滴滴(ディディ)、テンセント、アウディ、トヨタなど16社165台が北京市の自動運転車ナンバーを取得している。公道走行試験の走行距離は2021年8月時点で、累計306万kmを超えている。
このような試験走行を経た後、ステップ3の希望するモニターを乗せた試験運行が行われる。多くの場合、事故などについての免責の書類にサインすることが求められる。ここでは主に安全性に対する検証が行われる。
ステップ4の全面開放に進むと、アプリなどが公開され、誰でも予約をすれば乗車ができるようになる。ここでは運行面の検証が主となる。ただし、この全面開放型の試験営業は、問題が起きると中止される。よくあるのは悪天候だ。風や雨、霧が激しくなると、安全を考えて中止となることがある。
さらにステップ5に進むと、通常のタクシーと同じ常態運行の試験営業に入り、その次が料金をとっての正式営業となる。現状では、常態運行まで進んでいる企業はあるものの、正式営業はまだどこも始めていない。
【次ページ】正式営業のために克服しなければならない課題
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