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  • 2021/02/26 掲載

静かにアツい「自動運転シャトル」とは? トヨタも無印も注力する理由

連載:MaaS時代の明日の都市

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トヨタ自動車が2020年12月、自動運転シャトル「e-Palette」の運行管理システムを発表した。同月には茨城県で、一足先に登場したフランスのナビヤが開発する「アルマ」がバスとして走り始めた。今、こうした自動運転シャトルが静かに盛り上がっている。その誕生の経緯、技術面の特徴、現在の動向、今後の展望について紹介しよう。
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トヨタの「e-Palette」
(出典:トヨタ自動車 報道発表資料)


2018年CESで発表、トヨタの「e-Palette」

 トヨタ自動車代表取締役社長の豊田 章男氏が、「カーメーカーからモビリティカンパニーになる」という衝撃的な言葉とともに、自動運転移動サービス用車両「e-Palette」のコンセプトカーを発表したのは、2018年初めの米国CES(家電見本市)でのことだった。


 その後e-Paletteは、翌年秋の東京モーターショーで一般向けに実車が披露され、2020年末にはサービス提供を支える運行管理システムをオンライン発表会で公開した。トヨタはプロジェクトに賛同する他企業や団体とともに、2020年代前半の複数エリア・地域での商用化を目指し、今年2月23日にくわ入れ式を行った「Woven City」での運行も計画しているという。

 トヨタがこのようなモビリティサービス用車両を送り出そうとしている事実は画期的だ。ただし、e-Paletteのような車両がこれまで存在しなかったわけではない。日本でも各地で実証実験を行っていることを知っている人もいるだろう。

 その源流は、EU(欧州連合)が進めてきた助成型研究開発フレームワークプログラム(FP)の一環として2回運営された、シティモビル(City Mobil)にある。

ルーツは「シティモビル2」にあり

 2006~2011年に「シティモビル1」、2012~2016年に「シティモビル2」が実施されたこのブログラムのミッションは、自動運転の乗合型シャトルによる環境問題や都市問題の解決だった。シティモビル1は予算4,000万ユーロで10都市・28団体が参加、シティモビル2は予算1,600万ユーロで12都市・45団体が参加した。

 2つのプログラムで異なっていたのは走行場所で、シティモビル1では空港やニュータウンなどの占有敷地内だったが、シティモビル2は一般公道で走行した。車両も前者は超小型の4人乗りだったのが、後者では10~15人になった。つまり、e-Paletteに近いのはシティモビル2になる。

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一般公道で走行したシティモビル2
(写真:筆者撮影)

 このプログラムは5年前に終了しており、ウェブサイトなどは残っていない。しかし筆者は以前調査を担当したことがあり、主な資料を保存している他、実験現場に行ってもいるので、概要は把握している。当プロジェクトの印象をひとことで言えば、数ある自動運転プロジェクトの中でも規模の大きさ、先進性、実行力という点で特筆すべき存在だった。

イージーマイル「EZ10」、ナビヤ「アルマ」の登場

 たとえば、シティモビル2のプロジェクトに参加した12都市のひとつ、フィンランドのヘルシンキ郊外にあるヴァンターで2015年7~8月に行われた実験では、4台の自動運転シャトルを用いて合計3962kmを走行し、1.9万人を運んだというデータが残っている。

 このとき使われたのが、フランスのスタートアップ企業イージーマイルが開発した「EZ10」だった。同じ時期に、やはりフランスからナビヤ(NAVYA)の「アルマ(ARMA)」が登場した。そしてプログラムが終わるとこの2台は、世界各地で実験走行を始めた。

 日本では2016年にDeNAが輸入したEZ10、翌年ソフトバンクグループのSBドライブ(現BOLDLY)が所有するアルマが、実証実験で使われはじめた。

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栃木市で実験走行をする「EZ10」
(写真:筆者撮影)

【次ページ】「乗用車の自動運転」と何が違う?
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