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ビジネスSNSを手掛ける米リンクトインが4月末、「働きたい企業ランキング」を発表した。「昇進の可能性」「スキルの獲得」「仕事の安定性」「社外からの魅力」「社内のつながり」「ジェンダー多様性」「学歴の多様性」の7つの要素から、同プラットフォームの膨大な匿名データを分析し、企業をランク付けしたものだ。米国では、1位はグーグルでもアップルでもなく、アマゾン。同社は米国以外でも高い評価を得た。また、日本、フランス、ドイツ、マレーシア、フィリピンなどでのランキングも発表され、スペインでは1位に日本のあの企業が選出されるという意外な結果も。アマゾンを筆頭に今、世界各国で最も人気のある企業とその理由を、同ランキングの結果に基づいて考察する。
ビジネスSNS最大手の「働きたい企業ランキング2021」
ユーザー数7億5000万人以上のビジネスSNSを手掛ける米リンクトインは2021年4月末、同プラットフォームの膨大な匿名データから算出した国ごとの「
働きたい企業ランキング」を発表した。
対象国は、日本、オーストラリア、ブラジル、カナダ、中国、フランス、ドイツ、インド、マレーシア、メキシコ、オランダ、フィリピン、サウジアラビア、シンガポール、スペイン、カタール、アラブ首長国連邦、米国。
ユーザーの匿名データを7つの要素に分け、そこから「働きたいと思える」企業をランク付けしている。その要素とは「昇進の可能性」「スキルの獲得」「仕事の安定性」「社外からの魅力」「社内のつながり」「ジェンダー多様性」「学歴の多様性」の7つだ。
データ参照期間は2020年1月1日~12月31日。リンクトインとその親会社であるマイクロソフトは、ランキングに含まれていない。
以下では、いくつかの国のランキングをピックアップし、高評価理由を探ってみたい。
グーグル2位、アップル8位、1位は?米国のランキング結果
まず
米国のランキングから見ていきたい。
米国の働きたい企業ランキング2021 |
順位 | 企業 |
1位 | アマゾン |
2位 | アルファベット(グーグル親会社) |
3位 | JPモルガン・チェース |
4位 | AT&T |
5位 | バンク・オブ・アメリカ |
6位 | IBM |
7位 | デロイト |
8位 | アップル |
9位 | ウォルマート |
10位 | EY |
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1位となったのはアマゾン。非正社員や物流関係の労働問題ではトラブルも少なくない同社が1位になったのは意外に思われるかもしれないが、2020年のパンデミックで急増したEコマース需要により、アマゾン米国は同年だけで4万人を雇用したという。
また、ランキングのデータは公開されておらず正確な情報を知ることはできないが、まずはリンクトインというプラットフォーム上の結果であること、そのうえで同ランキングのランク付け要素の中では「昇進の可能性」「スキルの獲得」「仕事の安定性」における評価が高かった可能性が考えられる。
優秀な人材を他社から引き抜く際、上位の役職を提示することはよくあること。事業拡大の緊急性が高まったコロナ禍では、普段よりもアグレッシブに上位の役職提示で人材獲得を行っていた可能性は高い。
「スキルの獲得」に関して、アマゾンは2025年までに7億ドル(約760億円)を投じ、米国社員10万人にクラウドスキルを学んでもらう制度を開始している。企業の社員スキル習得プロジェクトとしては過去最大規模になるといわている。ランキング要素の1つ「スキルの獲得」に影響を及ぼしたのは間違いないだろう。
該当企業の直近1年間の離職率と3年以上在籍の社員比率で測る「仕事の安定度」ではどうか。この指標は給与水準などから推測することができるかもしれない。
米国勢調査局のデータによると、2019年同国の世帯あたりの所得(中央値)は、6万8700ドル(約747万円)だったが、アマゾンの給与水準はこれを大きく上回る。
企業レビューサイトPayScaleによると、アマゾン社員の平均年収は10万3000ドル(約1100万円)、ボーナス額は平均1万6000ドル(約174万円)と、米国の世帯所得中央値の2倍ほど。給与水準は高いといえるだろう。
米人材サービス会社Jobviteが2020年に実施した離職に関する調査によると、社員が転職を考える理由として「キャリア成長」(56%)、それに僅差で「給与」(54%)が2トップ要因としてランクインしている。
アマゾンのスキル習得プログラムと高い給与水準、そしてJobvite調査の離職要因を考慮すると、アマゾンの社員定着率は高く、「仕事の安定性」で高い点数を獲得した可能性は十分にあり得る。
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