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  • 2023/02/07 掲載

アマゾン、大減速で“守りの経営”に戦略転換? それでも「死んでない」と言えるワケ

連載:米国の動向から読み解くビジネス羅針盤

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アマゾンが2月2日に第1四半期の営業利益がほぼゼロになる可能性を示し、大きな話題を呼んでいる。業績の減速など厳しい状況が続く中、同社は攻めから守りの経営にシフトしている。もはやディスラプター(破壊者)であることにこだわらず、これまでのような新事業へのチャレンジ精神がある企業文化は見られない。むしろ、安定した収益の見込める既存分野での「メンテナンス」経営を行う傾向が顕著になっている。では具体的にどのような方針転換を図っているのか。アマゾンの今後の展開に迫る。
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アマゾンはどのような方針転換を図っているのか
(写真:アフロ)

純利益が98%減…プライム会員も初めて減少

 アマゾンは2022年第4四半期の決算で、売上高が5,139億ドル(約66兆円)に到達し、過去最高を記録したものの、純利益は前年同期比で98%も減少。営業利益率も新型コロナ流行前の6%前後に対し、2.4%にまで下落した。

 クラウドサービス(AWS)の主要顧客による支出見直しの影響が大きく、EC事業もインフレなどによる消費者の支出抑制が利益を押し下げたようだ。特にコロナ後の消費がモノからコトへ移ったこと、エネルギー関連支出がインフレで急増したこと、そして消費者のプライム離れが起きていることは大きい。

 こうした厳しい状況は、米国におけるプライム会員の数にも表れている。2022年、10年前の推計(米調査企業Consumer Intelligence Research Partners調べ)開始以来、初めての縮小を記録したのだ。

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プライム会員数は2013年の1700万人から、2021年に1億7000万人へと10倍に成長。しかしここでピークを迎える。2022年は何人となったのか
(出典:米ビジネスインサイダーより編集部作成)

 米国における2022年のプライム会員数は、2021年から200万人減の1億6800万人。これは、会費を年間119ドルから139ドルへ値上げしたことが影響している可能性がある。さらに同時期に物価が高騰し、一部消費者のサブスク離れが顕著になったと見られる。

 これに対し、コメントを求められたアマゾンは「全世界のプライム会員総数は2億人を突破し、増え続けている」とするが、最も戦略的な拠点の米国において会員が減少していることは否定していない。

 さらに、同社EC売上のうちプライム会員による割合は2018年と2019年に推定60%、2021年に66%を占めていたが、2022年には73%へと急増している。これは、同社が新規の非プライム顧客を引き寄せる力が大きく落ちていることを示唆している。

2万人弱の大量解雇、求人票も1/100に

 一方、支出を抑えるために従業員数を減らしている。2022年6月のキャリアサイトにソフトウェア開発だけでも3万件以上の求人票が掲示されていたが、2023年1月にはその数が300件未満に激減

 加えて、同年11月に1万人規模の一時解雇を発表し、2023年1月にはその数が全社員の5%である1万8000人にまで膨れ上がった。米ニュースサイトVoxは、「これは成熟した企業の回避できない斜陽」と論評した。しかしアンディ・ジャシーCEOの目下の急務は、一刻も早くアマゾンの収益性を回復することだ。雇い過ぎた人員のリストラは必須であると見られている。

 またあらゆる新たな収益源の確立に挑戦してきた同社だが、これらの事業展開のペースも落ちてきているようだ。次のリストラはこれらの事業が対象になる可能性もありそうだ。

【次ページ】次のリストラは? 相次ぐ事業の撤退・縮小で考える
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