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- 2019/01/24 掲載
HCIは“主流”になるか、NutanixとMS、AWSが火花を散らすワケ
松岡功「ITキーワードの核心」:第7回
中堅・中小企業のITインフラとして有力なHCI
IDC Japanによると、HCIは運用管理の効率化、スモールスタートと拡張性、迅速な導入といったメリットが国内でも定着し、市場は急成長を遂げている。当初はVDI(仮想デスクトップインフラ)としての利用が多かったが、最近ではサーバ仮想化環境向けのインフラ投資における主要な選択肢の1つになったという。
同社が先頃発表した国内HCI市場の予測によると、2018年の支出額は255億7000万円の見込み。これが2022年には459億9300万円になり、2017~2022年の年平均成長率は23.9%と予測している。
仮想化環境において顕在化した課題の解決に加え、デジタルトランスフォーメーションに伴うITインフラの俊敏性や柔軟性の向上、マルチクラウド環境でのITインフラ管理を統合する“ハイブリッドクラウド”の実現に対するニーズを背景に、今後も高成長が続くと見ている(図1)。
では、ユーザーの動向はどうか。ノークリサーチが先頃、年商500億円未満の中堅・中小企業におけるHCIの活用状況と用途について調査した結果によると、活用状況は図2のようになり、「導入済み」「導入を計画/予定」「導入を検討」の合計は回答企業全体の31.8%を占めた。
また、用途については図3の通り、基幹系や情報系といった主要な業務システムとしての利用が多く挙げられていることが分かった。
同社はこうした結果から、HCIは単なる「サーバ仮想化におけるSAN(ストレージエリアネットワーク)の代替手段」ではなく、「サーバリソースにおける柔軟性や伸縮性をシンプルなオンプレミス環境で実現する手段」と捉える必要があると指摘。
そうした視点に立った場合、HCI導入/運用のノウハウがさらに蓄積し、サーバハードウェアやHCI基盤ソフトウェアの価格が下がっていけば、HCIは中堅・中小企業のサーバ環境における「オンプレミスか、クラウドか?」の選択にも少なからず影響を与える可能性がある、との見解を示した。
この見解はすなわち、オンプレミスとクラウドを連携させた“ハイブリッドクラウド”向けに適したHCIが、中堅・中小企業のITインフラの選択肢として有力であることを示唆している。
【次ページ】NutanixとMicrosoftの基盤ソフト競争にAWSが参戦
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