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本連載では、ITトレンドから毎回ホットなキーワードを取り上げ、その最新動向とともに筆者なりのインサイト(洞察)や見解を述べたい。第14回に取り上げるキーワードは「BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)サービス」。その市場動向と、大手事業者の最新の取り組みを紹介しながら考察してみたい。
今後も堅調な伸びが予測される国内BPOサービス市場
コールセンターやデータ入力など事務作業を請け負うBPO市場が着実に伸びている。企業は社内の人材不足に加え、コスト削減や業務効率化を進めていることもあり、外部のBPO事業者に業務を委託しようとする動きが強まっている。
IDC Japanが先頃発表した国内BPOサービス市場の予測によると、2018年の同市場は前年比4.7%増の7691億円となり、2018~2023年の年間平均成長率は3.5%、2023年の同市場規模は9147億円と予測している。
そのうち、国内人事BPOサービス市場は、前年から2年連続で主要4業務の中で最も高い成長率を示した。優秀な人材の誘致、従業員の健康維持/向上、非正規労働者の待遇改善などに対応する需要の拡大を背景に、主に福利厚生業務が成長をけん引した。2019年以降も予測期間に渡ってこの傾向が継続するとみられ、同市場は好調に推移するとIDCでは見ている。
また、国内カスタマーケアBPOサービス市場も2019年以降、堅調な成長を維持すると予測。同市場は人材不足の影響を強く受けており、オペレーターの人件費が上昇傾向にあるが、近年は顧客の理解が進んでいることから価格に反映しやすい状況になっている。
さらに、電気/ガスの小売自由化や、製造業の企業による小売への取り組みなどといった異業種への参入増加に伴い、自社にノウハウのないカスタマーケア業務の外部委託需要が高まっているという。
大規模化、複雑化するBPOサービス
国内財務/経理BPOサービス市場においては、単純な記帳代行業務は縮小傾向にある一方で、業務改革の一環として財務/経理業務全体を外部委託したいとの需要や、さらにこれを起点とした間接部門を包括的にサポートするサービスに対する需要は高い状態が続いている。人材不足を背景としたRPA(Robotic Process Automation)に対する注目度の高さにも支えられ、同市場も2019年以降、安定した成長を続けるとIDCでは見ている。
そして、国内調達/購買BPOサービス市場では、大企業においてはコスト最適化を目指す間接材調達/購買業務の集約化に対する需要が高い状態が続いており、中堅中小企業においても人材不足への対応やコスト削減が課題となっている。
これをサポートするためのITシステムを活用したサービスの展開も進んでおり、これらに支えられて同市場は2019年以降も比較的高い成長率を維持すると予測している。
国内BPOサービス市場は、間接部門を中心に企業や団体の人材不足がますます深刻化し、テクノロジーの導入もそれを背景とした効率化、省力化という側面が強くなっている。
こうしたことからIDCでは、「国内BPOサービス事業者は、人材不足に悩む大企業の事務集中センターをはじめ、シェアードサービス会社や地方公共団体の取り込みを狙うとともに、ITシステムを活用して可能な限りサービスのプラットフォーム化を推進すべきである」と提言している。
【次ページ】BPOサービス大手がデジタル変革支援へ事業拡大
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