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- 2018/12/21 掲載
GAFAが進出したら「終わり」? レガシーだらけ日本の現実と弊害
破綻しないまでもかなりの浸食を受ける
「アマゾンやグーグル、フェイスブックといった巨大デジタル企業が自社のビジネス領域に参入してきたら、自社のビジネスは崩壊する」ーー。調査会社ガートナーが18年10月に発表した日本企業のデジタルビジネス推進に向けた調査結果によると、その回答が12%あった。これに「破綻しないまでも、かなりの浸食を受ける恐れがある」(36%)と、「自社のビジネスの成長機会が奪われる」(24%)との回答を加えた危機感を持つ企業が7割超にも達する。
出遅れる製造業のデジタル化?
ところが、デジタルビジネスに取り組んでいる企業は1割程度だという。デジタル化が進まない大きな原因がある。巨大デジタル企業を脅威に感じても、実際にどの程度の影響を受けるか分からないからだ。デジタル化を積極的に推進した企業と、出遅れた企業の業績の差が表れたとの調査結果を見せられても、にわかには信じられない。IT投資によって、大きな成果を得たことがないからだ。
ITを“金食い虫”と思っている経営者は、AIやIoTなどを駆使するデジタルビジネスにも消極的になる。今のビジネスモデルを守れるとも思っている。
もちろんグローバルで人材獲得に取り組む製造業もあるが、日本の製造業の現状をとらえた「ものづくり白書2018年」によると、最も不足しているのは技能人材(59.1%)との回答が最も多い。
次いで設計・デザイン人材(8.5%)、営業・販売・顧客へのアフターサービス人材(7.5%)、経営人材(7.1%)などと続き、デジタル人材との回答は4.1%と最も少ない。
調査会社IDCジャパンが調査(18年3月)した国内企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)に関する成熟度でも、DX化は足踏み状態が続いている。
DXの成熟度は、ステージ1(個人依存)からステージ2(限定的導入)、ステージ3(標準基盤化)、ステージ4(定量的管理)、ステージ5(継続的革新)へと進化していくが、日本企業はステージ3以下が64%を占める。
簡単に言えば、3分の1がDXに取り組み、3分の1がPoC(概念実証)を実施し、3分の1が様子見といったところだ。
同社アナリストは、デジタル化を阻む原因があるという。「10人中9人がサイロ化された組織構造」とみている。しかも、DXが進むほど、組織の課題がクローズアップされる。
たとえば、IT部門と業務部門がそれぞれIT予算を持ち、IT部門が知らないところで、IT予算が使われていることが多くなり、データを散在させている。組織の壁のほか、企業文化のハードルも大きい。
【次ページ】老朽システムもDXを妨げる
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