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「FinTech」とひと口に言っても、さまざまな分野があります。今回は、その中でも注目領域である「決済」、特に「キャッシュレス」に着目していきます。日本のキャッシュレス決済の中心であるクレジットカードの仕組みを解説し、さらに最近増えてきたデビットカード/プリペイドカードについても基礎・基本から確認します。
日本では現金決済が半分を占める
日本政府はキャッシュレス決済に注力しています。経産省は2025年までに40%を達成、その後世界最高水準の80%を目指しています。
しかし、国内の実情を見てみると、日本の個人消費は300兆円程あると言われていますが、その半分は現金で行われています。
クレジットカード、デビットカード、プリペイドカードを合わせたいわゆる「キャッシュレス決済」と呼ばれる決済手段は、合わせて23.5%になります(経産省のキャッシュレス決済とは定義が異なります)。
4月に経産省は、このキャッシュレス比率を大阪・関西万博が開催される2025年までに40%まで上げる、という目標を設定しています。将来的には世界最高水準の80%という数値目標を目指すと宣言しています。
クレジットカード決済の基本
キャッシュレス決済の中で、最も大きな比率(16.7%)を締めているのが後払いの決済手段であるクレジットカードです。
いわゆる「クレジットカード会社」は3種類に分類することができます。
1つ目が会員を開拓する「イシュア」、2つ目が加盟店を開拓する「アクワイアラ」、そして3つ目がそのネットワークを提供する「ブランド」になります。
イシュア:
会員向けにカードを発行する会社がイシュアです。クレジットカードの場合、会員の与信審査を行って、与信枠を設定します。
お店でクレジットカードを使うと、承認依頼伝票がアクワイアラを経由してイシュアに飛びます。イシュアは、決済金額が与信枠内の場合は、決済を承認します。代表的な企業は、三菱UFJニコス、三井住友カード、クレディセゾン、楽天カードなどです。
アクワイアラ:
クレジットカードが使えるお店を増やす会社がアクワイアラです。お店にVisaやJCBといったブランドのシールを貼る係です。
お店にあるカード決済端末を設置するのもアクワイアラで、その端末を使って、イシュアに決済承認依頼を行います。代表的な企業は、三菱UFJニコス、三井住友カード、UCカード、楽天カード、トヨタファイナンスなどです。なお、アクワイアラは、イシュア部門を持っていることがほとんどです。
ブランド:
イシュアとアクワイアラに対して、国横断で決済ネットワークを提供しているのが、ブランドです。世界には100以上の国で膨大なイシュアとアクワイアラが存在しており、その間を統一した規格でつなげる役割を果たすのがブランドです。
原則「ブランド」といえば、国際的な存在で、Visa、マスターカード、JCB、アメリカン・エキスプレス、ダイナースあたりが日本でもなじみ深いブランドです。なお、JCBとアメリカン・エキスプレス、ダイナースに関しては、イシュアとアクワイアラも行っています。
たとえば、楽天のWebサイトでVisaのセゾンカードを支払う場合、イシュアはクレディセゾン、アクワイアラは楽天カード、ブランドはVisaになります。海外で同じカードを使う場合、アクワイアラは現地のカード会社が担当します。
こちらの図は、イシュア、アクワイアラ、ブランドの手数料分配の図です。客がお店で1万円の買い物をした場合の配分を表しています。各社、主にお店から得られる手数料を収益源にしていますが、そちらを役割に応じて分配しています。
客がお店に1万円を支払うと、その2.5%分の250円が手数料としてアクワイアラにわたります。その後、1万円の1.6%の160円がイシュアに分配されます。その後、イシュア、アクワイアラはブランドを利用したことに対し、手数料を10円ずつブランドに支払います。なお、これらの割合は状況によってまちまちですので、あくまで例と捉えてください。
なお、このクレジットカードの仕組みをベースに、ブランドはデビットカードやプリペイドカードも提供しています。
【次ページ】デビットカード/プリペイドカード決済の基本
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