- 会員限定
- 2018/05/25 掲載
経産省がAI/IoT講座を認定、イノベーション生む「学び」の投資術とは
-
|タグをもっとみる
社会人基礎力の「オールラウンダー」である必要はない
資料では、新卒一括採用や終身雇用という日本型雇用モデルや、結婚して子育てをするといった、かつての「普通」の生き方はいまや「当たり前ではない」とし、「『サラリーマンと専業主婦で定年後は年金暮らし』という 『昭和の人生すごろく』のコンプリート率は、既に大幅に下がっている」と、現代日本が抱える問題点を指摘した。
第4次産業革命において、求められる人物像について、藤岡氏は「キャリア構築を会社任せにせずに自分で決める”キャリア・オーナーシップ”の精神と、知識を絶えずアップデートし続けられる“積極性”を備えている人材」と語る。
「技術の進歩に伴い、知識やスキルの”賞味期限”は、過去に比べて短くなっています。日々、さまざまなスキルを自律的にダウンロードしなければなりません。しかし、『OS』が古ければダウンロードができなかったり、うまく作動しなかったりする。キャリアマインドや社会人基礎力といった『OS』があって、それを使ってITスキルや専門性などのアプリケーションを操作するイメージです」(藤岡氏)
専門性が重要なことは疑いようがないが、資格の取得に固執していては意味がない。スキルの賞味期限が短い中、上辺だけのスキルよりもOSである社会人基礎力を高めるほうが意味のあること、と藤岡氏は言う。
経済産業省はOSとしての社会人基礎力を、平成18年から3つの能力(12の能力要素)で定義している。ではこの社会人基礎力を育てるにはどうしたらいいのか。
ひとつは兼業・副業や留学など越境体験をして、さまざまな経験をすること。そしてもうひとつのキーワードは『リフレクション(振り返り)』だ。社会人基礎力を分解したときに、12の要素を満遍なく持っていなくてはならないと思われがちだが、一点突破型でも器用貧乏型でも問題ない。重要なのは、自分ができること、できないことを自分自身で振り返り、棚卸しできていることだ。
「社会人の7割程度は、スキルの棚卸しの経験がないと考えられます。ですが、自分のできることは意外にもほかの人に欲されています」と藤岡氏は話す。
リフレクションのためにはメンター(指導係)も有効だ。「日本人はリフレクションをしようとすると、自身の足りない部分に目が行きがち。否定的なものではなく、自身の強みや未来志向での振り返りが必要であり、壁打ち相手がいたほうがいいです」と藤岡氏。
最大168万円、各種助成金が出るAI、IoT講座とは?
このような社会人基礎力や最新スキルを身につけるために必要となるのが、リカレント教育だ。社会人の学び直しに対して、現在、厚生労働省や経済産業省が中心となり「学び直し」の旗振りを行っている。経済産業省は2018年1月、「第四次産業革命スキル習得講座」として16事業者23講座を認定した。これは、AI、IoTや高度なセキュリティ、生産システムデジタル設計など高度な利活用などを対象に、社会人向けに開講した講座だ。
このような職業訓練を行う個人に対して支払われる「教育訓練給付金制度」のほかに、職業訓練を実施する企業の訓練費や訓練中の賃金を助成する「人材開発助成金」もある。
また、人的投資に積極的な企業(教育訓練費を一定以上増加させた企業)の法人税負担を引き下げ、企業人の学び直しを後押しする。
では、このような制度の後押しを受けて、企業はどのような施策を実施すべきか。次ページでは、藤岡氏が語った、これからの人材育成で企業が担うべき3つの役割を記す。
【次ページ】イノベーションを生む人材はいかにして生まれるのか
関連コンテンツ
関連コンテンツ
PR
PR
PR