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  • 2016/12/28 掲載

中間管理職が知っておくべき役職別ダイバーシティ&インクルージョンスキル

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多様な人材を集めるだけでなく、個々の個性と能力を前向きに活かしていく「ダイバーシティ&インクルージョン」。言葉だけ聞くと簡単だが、実際に取り組んで成功している企業はまだ多くはない。そこで、ダイバーシティ経営に乗り出し、効果を上げた日立製作所、マイスター、プロクター・アンド・ギャンブル・ジャパン、さらに経済産業省から担当者が集まり、それぞれの知見を披露した。
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「ダイバーシティ」の本当の意味、ちゃんと理解していますか?


日立、P&G、経産省らが考える「ダイバーシティ」

 12月2日に開催された経済産業省主催、政策分析ネットワーク共催による「無限大の好循環へ! ダイバーシティ経営 All MeetUP」で、パネルディスカッションが行われた。

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パネルディスカッションの様子

 パネリストを務めたのは、日立製作所 人財統括本部 ダイバーシティ推進センタ 部長代理 武内和子氏、マイスター 代表取締役 高井作氏、プロクター・アンド・ギャンブル・ジャパン(以下、P&G)ヒューマンリソーシズ アソシエートディレクター 臼田美樹氏、さらに女性活用ジャーナリスト/研究者の中野円佳氏、経済産業省 経済産業政策局 経済社会政策室長 藤澤秀昭氏の5人。そしてモデレーターを博報堂リーママプロジェクト リーダーの田中和子氏が務めた。

「同化」は「ダイバーシティ」ではない

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博報堂リーママプロジェクト
リーダー
田中和子氏
田中氏:みなさんが思う人材の多様性とは何でしょうか。

武内氏:どんなバックグラウンドの人でも、率直に言い合える関係であることが「人材の多様性」だと捉えています。

高井氏:個性や特徴を尊重して、1人ひとりの能力を発揮しやすい組織に多様性があると思います。

臼田氏:社員1人ひとりの個性が生かされ、違う意見を述べることが自由にでき、しかもそれを尊重してくれる環境にすることが理想だと考えています。つまりダイバーシティだけではなく、インクルージョンがしっかりできてはじめて、経営成果が出せます。ただ、多様な人材が組織に所属しているだけで、異なった意見が受け入れられなかったり、個性が生かされていないと、個性が「同化させられる」という状況に陥ります。

 「インクルージョン」のレベルに持って行くためには、経営陣はもちろん、社員1人ひとりにインクルージョンスキルが求められる。大事なのは、そのための取り組みを継続していくこと。一旦、インクルージョンのレベル達していた組織でも、継続しなければ同化のレベルに戻ってしまいます。

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ダイバーシティで経営成果を出すにはインクルージョンが不可欠

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女性活用ジャーナリスト/研究者
中野円佳氏
中野氏:日本企業の多くは、ダイバーシティの推進といいながらも進めてきたのは女性活用でした。女性というマイノリティが抱える課題を解決することは必要ですが、それを行ったからといって生産性が上がるわけではありません。

 経済学では専門性や経験、価値観がパフォーマンスを上げるという知見が広まっています。多様な専門性を持っている人たちが集まると、得意なことを教え合うからです。多様性のある状態とは、経験や専門性が多様な人を集め、その人たちが経験を生かしたアイデアを出したり、ものを言える状態のことだと思います。

藤澤氏:ダイバーシティはベクトルが大事です。理想を言えば、誰かが命令しなくても変化に対応できる仕組みをトップマネジメントや管理職が作ることが大事です。日本ではリーダー層や経営層に女性が占める割合は約3%。米国の10%後半、欧州の20~30%と比較すると、その差は顕著です。管理職が変わっていくことが大事です。

中間管理職が「ダイバーシティ」のカギ

中野氏:経営層も大変ですが、最も大変なのは中間管理職です。上からは「対応しろ」と言われ、参考にしようと海外のリーダーシップ論やマネジメント論を読んでも、すでにこれらの書籍ではダイバーシティは大前提となっているのでダイバーシティについては書かれていない。つまり誰もやり方を教えてくれないのです。

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P&G
ヒューマンリソーシズ
アソシエートディレクター
臼田美樹氏
臼田氏:中間管理職の一言がカギになりますね。たとえば「妊娠しました」と社員から言われたとき、マネージャーはどんな表情でどんな言葉をかければよいのか。目を泳がせながら「おめでとう」と言ったら、その社員は「2度目はもう歓迎されないな」と思ってしまう。そこでさまざまなケース(女性だけではなく性的マイノリティや障がい者など)を用意して、実際にどのような言葉をかければよいのかという研修を行ったりしています。管理職は現場の要なので、このような研修を継続的に行い、ダイバーシティ&インクルージョンを進めています。

武内氏:私たちが管理職研修で強調しているのは、誰もが無意識のバイアスを持っているということです。自分にバイアスがあると気付くだけでも行動が変わると思います。もちろん、バイアスはなくならない。性差や国籍などの違いによって、バイアスがかかった目で判断していないか、強く意識してほしいと研修で言っています。

 当社は事業体によって、外国籍の人、女性、中途入社者などの割合がまったく異なります。今年度の注力方針は共有しますが、各事業体、グループ会社で最も課題を感じているところ、手をつけなければならないところから取り組んでくださいという形で推進しています。

 それら各事業体の取り組みをアドバイザリ・コミッティで共有し、できる取り組みは横展開していきます。一方、産休前・復職支援セミナーや女性部下を持つ管理職向けマネジメントセミナーなどの研修は本社側で実施しています。

【次ページ】役職別ダイバーシティ&インクルージョンスキル
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