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最近、ようやくビッグデータを経営戦略に活かせる分析環境やサービスが揃ってきた。とはいえ、まだビッグデータの全貌や具体的な活用方法について分からないという向きが多いかもしれない。先ごろ開催された「第3回IT Forum」(主催:経済新報社/共催:ジェイスピン、後援:経済産業省)では、政府と民間の立場から有識者が招かれ、「ビッグデータを活用したビジネス最適化戦略」をテーマにした講演やパネルディスカッションが催された。ここでは当日のフォーラムの模様をレポートしよう。
まだ国内ではビッグデータなどの新技術についての認知度が低い
まず主催者を代表して、IT Forumのマネージングディレクターを務める経済産業新報社の高橋成知氏が、「ビッグデータは、ただ情報を入れておけばよいという話ではなく、ノイズや歪み、隔たりがあり、それがファクトではないという点を認識して欲しい。データサイエンティストのような人材が不足する日本で、どうやってビッグデータを正しく理解し、経営資源として活用できるか、この場で勉強していただければ幸いだ」と挨拶を述べた。
次に「IT・データ利活用による新産業創出に向けた我が国の取組み」をテーマに、行政側の立場から経済産業省の佐脇紀代志氏が登壇した。佐脇氏は、日米のIT部門以外のユーザーに対して調査したIT認知度アンケートを引用し、日本ではSNSやプライベートクラウド、ビッグデータなどの新技術について知らない人が多いことを指摘。「データはイノベーションの米になるもの。今後、データからの価値創出がインパクトを与える時代になる。溢れ出すビッグデータをどうやって使いこなすか、それが競争力を決めるポイントになる」と強調した。そしてビッグデータビジネスについて、いくつかの事例を挙げた。
たとえば国内では、店で接客にあたる仲居さんにセンサを取り付け、行動パターンを可視化する「がんこフーズサービス」の例を紹介。導線分析により、店内オペレーションの効率化に成功し、経常利益を10ポイントも増加できたという。またカタリナマーケティングは、スーパーなどのレジでPOSと連動し、消費者の購買履歴に応じたクーポン券を発行。いま国内で約1000万世帯にリーチできるそうだが、消費者の行動や嗜好分析のデータをうまく活用した事例といえる。
佐脇氏は、海外の事例についても紹介した。米国のDVDレンタル大手・レッドボックス社は、全米に3万5000台以上の無人レンタル機を有している。履歴データから、売れ筋タイトルをそろえたり、返却・ストックの状況を予測している。一方、金融業のZestFinance社は、クレジット審査にビッグデータを活用し、返済できない顧客の相関関係を探ることでリスクを判定し、消費者金融の市場拡大につなげている。たとえば「携帯電話の支払いを毎月きちんと行なっている顧客は借入金の完済率が高い」というように、意外なデータでリスクを管理できるそうだ。
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