- 会員限定
- 2017/10/19 掲載
動物園も直面する「高齢化問題」、このままではゾウやゴリラが消えることに
ゾウ、トラ、コンドルなど人気動物が相次いで死亡
イズミは園で53年間飼育され、メスで日本一の長寿だった。看板動物だっただけに、新たなゾウの導入を希望する声もあった。しかし、アジアゾウは絶滅危惧種に指定され、新たに導入する場合、繁殖を前提にペアなど群れで飼育することが求められる。
1頭当たり3,500万円ともいわれる調達費用に加え、複数飼育に備えたゾウ舎の改修に億単位の費用が必要になる。桐生が岡動物園の斎藤隆浩園長は「ゾウを新たに飼育するのはハードルが高すぎる」と苦しい胸の内を打ち明けた。
人気動物が相次いで死んだ動物園もある。福岡市動物園では、2016年にミナミシロサイのオス「ロック」(推定45歳)、ニシゴリラのオス「ビンドン」(34歳)、2017年9月にアジアゾウの「はな子」(推定46歳)が死んだ。
いずれも長寿といえる年齢で、これによりアジアゾウが園内から消えただけでなく、ゴリラが九州からいなくなった。
徳島県徳島市のとくしま動物園もこの10年、人気動物の死亡ラッシュが続いた。園のシンボルだったアンデスコンドルの夫婦「ミスターチカラ」と「マユ」が推定62、63歳で2008、09年に死んだのを始まりに、2011年にレッサーパンダのメス「ラン」が19歳、12年にベンガルトラのメス「キャリー」が22歳で天寿を全うした。
コンドルの夫婦とトラは日本一の長寿で、レッサーパンダは2番の高齢だった。ペアの相手や子どもたちを飼育しているため、展示を中止することはなかったが、とくしま動物園は「今後も動物の高齢化が進むだけに、将来のことを考えると頭が痛い」と不安を口にする。
平均寿命を超す高齢動物が全国で増加中
動物が高齢になれば、健康を維持するのに世話が大変になる。広島市の安佐動物公園は、長寿の世界記録を持つクロサイの「ハナ」を飼育している。メスで51歳。国内最多の10頭の子どもを産み、やしゃごまで含めると60頭を超す子孫を持つ。「クロサイ界のビッグママ」と呼ぶべき存在だ。来園したのは1971年。以来、園の人気者として来園者を喜ばせてきた。7月の誕生日イベントでは、大好物のリンゴをほおばり、元気な姿を見せた。
ただ、年齢に配慮して公開は年数回だけ。クロサイは関節の軟骨が擦り減ると起き上がれなくなることがあるため、液体のサプリメントをパンに染み込ませて服用しているほか、低温による免疫力低下を防ぐため、室温を20度以上に保っている。
安佐動物公園は「サイの年齢は人間と比較しにくいが、かなりの長寿であることは間違いない。できるだけ長生きできるよう気をつけたい」と語った。
このほか、福岡県大牟田市動物園は飼育を始めて55年になるモモイロペリカンのオス「ペリー」を飼育している。長寿日本一の記録を更新中だ。神戸市王子動物園にいるオスのチンパンジー「ジョニー」は日本最長寿の67歳と推定されている。
京都市動物園には23歳になるライオンのオス「ナイル」、福岡市動物園には29歳のマレーバクのオス「ジュリ」がいる。神戸市の須磨海浜水族園にいるオスのラッコ「ラッキー」は19歳。野生の平均寿命を超えた人気動物は多い。
【次ページ】調達価格の高騰で1頭当たり億単位の動物も
関連コンテンツ
関連コンテンツ
PR
PR
PR
今すぐビジネス+IT会員にご登録ください。
すべて無料!今日から使える、仕事に役立つ情報満載!
-
ここでしか見られない
2万本超のオリジナル記事・動画・資料が見放題!
-
完全無料
登録料・月額料なし、完全無料で使い放題!
-
トレンドを聞いて学ぶ
年間1000本超の厳選セミナーに参加し放題!
-
興味関心のみ厳選
トピック(タグ)をフォローして自動収集!
投稿したコメントを
削除しますか?
あなたの投稿コメント編集
通報
報告が完了しました
必要な会員情報が不足しています。
必要な会員情報をすべてご登録いただくまでは、以下のサービスがご利用いただけません。
-
記事閲覧数の制限なし
-
[お気に入り]ボタンでの記事取り置き
-
タグフォロー
-
おすすめコンテンツの表示
詳細情報を入力して
会員限定機能を使いこなしましょう!
「」さんのブロックを解除しますか?
ブロックを解除するとお互いにフォローすることができるようになります。
ブロック
さんはあなたをフォローしたりあなたのコメントにいいねできなくなります。また、さんからの通知は表示されなくなります。
さんをブロックしますか?
ブロック
ブロックが完了しました
ブロック解除
ブロック解除が完了しました