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「ヒト・モノ・カネなし」はスタートアップ企業であれば当たり前のこと。他社が追随してくる前に、独自のビジネスアイデアを素早く具現化し、競争優位を確保する必要がある。一方、こうしたスタートアップの成長力やイノベーション力を取り込む目的で、支援・連携する大企業も増えてきた。とはいえ、文化やビジネススピードも大きく異なる両者が協力していくには課題も多い。アメリカ西海岸のテック系コワーキング「Runway(ランウェイ)」はこうした企業同士の「お見合い」に力を入れている。その取り組みから、大企業とスタートアップの連携方法、アクセラレータプログラムでの価値創出の方法を探る。
投資家、法律家など多彩な専門家にワンストップでアクセスできるサービスを提供
「わからなかったら、人に聞け!」
リソースが少ない中で劇的な成長を遂げるには、有益なアドバイスをくれる専門家が初期の段階からついていることが重要だ。ただし、誰でもよいわけではない。たとえば、圧倒的な数の起業経験を持つ実践的なアドバイザーや協業パートナーなど、自社がリーチできないコネクションを持っているアドバイザーもありうる。
ところが、このようなコネクションは一朝一夕では手に入れることができないうえ、リソース不足のスタートアップからすると、アドバイザーへの報酬などの費用負担も気になるところだ。
そこでRunwayでは、テック系スタートアップ支援に特化する中で広げた専門家ネットワークによるアドバイザーサービスを追加費用なしで提供している。投資家やマーケティング、法律など、さまざまなバックグラウンドを持つ専門家とのミーティングを設定するのも、重要な役割だという。
グロースするための実践的インプットはワークショップで
また、事業の成長を加速させたいのであれば、さまざまな実践的な学びが得られるワークショップへの参加がおすすめだとドハティ氏。グーグルカレンダーでRunwayのイベントスケジュールを見せてもらうと、テック系スタートアップが抱えやすい課題に焦点を絞ったワークショップやイベントがずらりと並ぶ。
一例をあげると、プレゼン方法やサービス・プロダクト改善のためのワークショップ、マーケティング調査会社のCMO(最高マーケティング責任者)が登壇し、デジタルマーケティングを効果的に活用するためのノウハウを教える勉強会、女性やマイノリティに特化したメンターによるパネルディスカッションイベントなど、そのテーマは幅広い。
中でも多彩なバックグラウンドを持つメンターが登壇するパネルディスカッションイベントはユニークだ。ちょうど筆者が訪問した2日前に開催されたイベントのテーマは「テクノロジー業界で女性が成功するには?(How can women can get ahead in Tech?)」。ハイテク業界で活躍するトップクラスのメンターと女性やマイノリティワーカーをつなぎ、ビジネスの成功を加速させるという内容だ。
アメリカのコンピュータ業界で女性ワーカーは26%を占めているのに、なぜシリコンバレーにある企業の開発部門に女性は1桁しかいないのか。このような問いのもと、各界で活躍する女性メンターたち(一部男性も含まれていた)が10名登場し、パネルディスカッションを繰り広げ、テーマ別の分科会も議論が白熱した。
登壇したトップメンターたちの経歴も実に華やかだ。GAPやツイッター、マーケティング戦略コンサルティング会社を経営する女性起業家など、錚々たるメンバーが登壇し、参加者の成長を手助けする。
業界調査によると、メンターがついている人とそうではない人では、約5倍も昇進スピードに差がつくという。女性やマイノリティはメンターに恵まれる機会が少ない。そのため、よりよいキャリアを手にする機会を逃しやすいという。同じような傾向はスタートアップ企業にも見られるため、このようなイベントを通じて、成長を加速させる機会を定期的に提供しているそうだ。
【次ページ】大企業とスタートアップを"お見合い"させるサービスとは?
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